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航空歴史館 掲載23/06/03

  
自衛隊機の機体材料について
 


はじめに

 防衛庁の公告で用途廃止航空機の解体及び収集運搬についてネット閲覧できる情報を山本晋介さんから頂き、その中で機体材料について書かれており、機種によって素材割合が異なるのではということで数機種調べてみました。
 開発時の技術力や機体のデザインで材料の違いが出ていることが判ります。
 付録としてF-4EJの材料加工等についても触れておきたいと思います。 イガテック

 

F-104J

 
  参考資料: 航空自衛隊F-4EJガイドブック 1971 

 自重: 約6300kg 上記数字はエンジン等を含まない。

F-4EJ 

 
 参考資料: 航空自衛隊F-4EJガイドブック 1971 

  上記資料の中でF-104Jとの材料の違いについて下記の説明があります。
 1,F-104Jと同様にアルミ合金を主に使っているが、強度、重量の点で優れている。
 2,熱処理や応力除去に最新の技術を採用し、内部応力を均一にしてあるため耐食性が優れている
 3,チタン合金の使用量が増加している。
 4,インコネル、ハステロイ等の耐熱合金が、アレスティングフック・ギア、後部胴体及び水平尾翼等に使用され、エンジン排気熱に強くしてある。

 4項目のエンジン排気熱については排気口が前方寄りにあるため写真等を見ても無塗装の耐熱金属を使用していることから判りますね。

 実際の材料重量については 公告資料で下記のように書かれています。


 航空自衛隊岐阜基地F-4EJ用途廃止航空機の解体及び収集運搬(2022/12/19)  

 空虚重量 13,800kgとあり 上記重量はエンジン等を含みません。
 解体時は機体の装備品は外された状態であると思われ上記のように約半分の重量になっていますね。


以降は陸上自衛隊のヘリコプターとなります。

UH-1H


 茨城地方本部 用途廃止済航空機の処分 (2022/09/22)

 上記本体重量を戦闘機と同じ材料分類で表示すると下記の通り
 

OH-6J


 茨城地方本部 用途廃止済航空機の処分 (2022/09/22)

 上記本体重量を戦闘機と同じ材料分類で表示すると下記の通り
 

 UH-1H と OH-6J の割合を比べるとOH-6Jの方が戦闘機に近い割合ですね。


補足
 重量を比較している中で、加工方法にも差があるのではと思いF-4EJパネルの加工例を示します。 F-86Fでは同様の加工はしていないように見えたので加工が異なると思います。

板厚肉抜き例1
  後席後方パネル



 周辺板厚は約3.2mmです。 肉抜きは1.4mm削られているので板厚は約1.8mmでした。


板厚肉抜き例2
 インテーク脇のパネル 板厚が薄いところも肉抜きされていました。


 他機種のパネルも今後入手できれば比べて見たいと思います。



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