佐伯さんの記事で気になる点があるので、お知らせします。
現在、羽布のほとんどはポリエステル繊維が使われ、そのデュポンの商品名がダクロンです。張った状態で天然繊維の羽布と比べると軽い感じがすると思います。同じ材質のものでもパッチ当てすると退色の具合もあって目立ちます。
アイロンは、ダクロン繊維を収縮させて張りを付けるので、展張(皺伸ばし)は誤解される表現と思います。一般の航空機は更に小骨かがり、テープ(テープ状の繊維)貼りなどをしてから、繊維の目止め塗りなどをして、仕上げ塗りになります。
天然繊維は、ドープ塗りで繊維の張りと目止めが同時にできます。同時にできてしまうので、作業が難しいことになります。このことと、塗る回数を除けば、ダクロンと天然繊維の作業はあまり変わらないように思います。
むしろ、最近の小型機(HOME・SITEMAP・サイトマップビルト機)には、フォーム材など塗料に侵されるものが使われ、その保護、配慮が必要です。
防水とありますが、翼表面の圧力を羽布でしっかり受け止め、揚力を発生させるための目止めと私は思います。結果として防水にもなると思います。
ライト・フライヤー、ハンググライダー、低速の超軽量動力機は、目止めの塗装は行っていません。
ライト兄弟のグライダの残骸から羽布をもらった地元の人は、目の詰まった高級リネンなので、子供の服に仕立てたということです。ドープを塗っていたら、補助翼機能のたわみ翼も実現できなかったでしょうし、服にもできません。
裁縫のピンキングはさみで、ギザギザに切れ、ほつれが防げます。男性にとっては馴染みがないだけと思います。
羽布については現在でも、航空機整備作業の基準FAR43に記述がありますのが、現役のエアライン整備士のほとんどは体験がないでしょう。おかしい点もあればご容赦ください。