写真といえばモノクロだった時代、殆どの人がコダック社のプラスX、トライXであり、カラーですとKR(高価ですので資料用に少しだけ)が主流だったと思います、
私も非常に使いやすいプラスX(少々感度等を間違えてもOKでした)を愛用していましたが、1983(昭和58)年頃、突然友人のM君がコダック社のテックパン(テクニカルパンフィルム)で撮った築城基地でのマルヨンの写真をくれたのです。カルチャーショックでした。
ディテールの細かさ、質感等群を抜いていました、即飛びついたのは言うまでもありません、本来このフィルムは図面の複写用で、屋外で写すのには適していませんが、マニアの誰かがこれを使ったのでしょう。瞬く間に広がって行きました。
何度か使いましたが、非常にデリケートで現像時は液温、攪拌、時間等少しでも油断するとムラ、キズが出来ました、ピーカンだとコントラストが付き過ぎカチンカチンになったり、大事なシーンを逃がしたりで、とうとう使うのを諦めました。
最後の1本を1989年の築城航空祭でF−4を撮りましたがこれがなんとバッチリ決まりました。この時のデータを覚えておきその後しばらく使い続けました。当時はもちろん全てマニュアルで晴天ならF8,500/1秒が基本で、親指がモータードライブのように動いたものです。
まさか生きている間に一番苦労したピント合わせをカメラが出来るなんて・・・、デジカメ全盛の今でも、ディテールの細かさはこのテックパンには敵わないと思っています、残念ながら印刷やパソコンの画面では中々出にくいようです。