・ お断り
紋章、エンブレム、ワッペン、パッチなどが好きではありますが、蒐集しようとまでは思わない男の一方的な感想であることを、最初にお断りしておきます。
・ とてつもなくご苦労な作業
航空ファンは、もともとパッチ好きで、誌面にもよく取り上げるし、実物制作販売も手掛けていますから、その延長線が遂にここまで到達してしまったのかというのが第一印象です。また、表紙に書いてある紹介のとおり、ベトナム戦争から現代まで米海軍航空部隊の歴史をつづるパッチ3000枚以上を収録という、とてつもなくご苦労な編集作業
に感嘆いたします。
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米海軍航空に特化
パッチなら米空軍もわが自衛隊航空もみんな付けており、それぞれの部隊史もあるなかで、米海軍航空だけに特化しているわけは、編集スタッフ「Maneging Editer神野幸久」の名を見てなるほどと分りました。彼は米海軍海兵隊オタクですから。
一部をチラリ拝見
実をいうと、私は表紙や中身をよく見ずに米海兵隊のパッチもあるものと思って買ってしまい、海兵隊が無いのを知ってがっかりしております。岩国のフレンドシップデーに毎年出かけている身としては、海兵隊のパッチの方に馴染が多いのでちょっとうつろな気分になってしまいました。
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誰を対象とした編集か、取捨選択の基準は
こんなにあるのかと初見の絵が延々と続く中で、見たことがあるものやデザイン的に面白いパッチに出会うとほっとしますが、 じきに疲れてしまいます。ご馳走がこれでもかこれでもかと運ばれてくるようなものです。この大書を十分に楽しみ、かつ有効に活用する読者は一体どういう層の方なんだろうと思ってしまいます。
神野さんも取り掛かる前には、3000枚以上も印刷しなければならなくなるとは予想していなかったのではないか、或いは海兵隊も考慮の中に入っていたかもしれません。現に「紙数の関係で掲載を断念したパッチも数多い」と書いていますから、企画段階の思惑がかなり狂っているのだろうと勝手に想像しています。
・ 第一歩となりうるか
航空史の本道からみれば、随分脇道的な史料と言わざるを得ないので、できれば、これを堂々と世に出した意図を教えて貰いたいです。
そして、史上空前の試みと思われる本書が思惑通り文林堂に利益をもたらすなら、対象や採用基準をより分りやすく進化させた第二弾、第三弾が生まれる可能性、無きにしも非ずと言っておきましょう。
・ なお、フライトジャケットも紹介されていますが、全く不案内で、どういう意味を持つのか論評はできません。