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図書室93

掲載19/06/12

令和 奉祝 記念出版 帆足孝治著 名機300選

 

巻末データブック国産機展示リストについて : 佐伯邦昭

 

     


発売日:2019年05月27日
サイズ:
四六判  ページ数:332 定価:1944円(税込)

 アメリカのライト兄弟の飛行から一世紀を越え、現在も航空機は日進月歩を続けている。その間に数知れない航空機が誕生し、成功作、失敗作など様々な運命をたどってきた。本書では成功作、つまり多く作られ、広く使われたベストセラー機にこだわらず、 航空史上、大切な役割を果たした航空機や変わった航空機も含めて300機を厳選、 初飛行順に1機500字以内で端的に解説した。巻末には国産機の保存リストを紹介。 (以上イカロス出版株式会社の宣伝ページから引用 )

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はじめに

 帆足さんが選んだ300機及びその写真と解説については、佐伯に云々する資格(知識)がありませんので 、上記イカロスの宣伝文をもって紹介に代えます。
 多くの人々がこの本を手に取って、ライトフライヤーからエアバスA220までの発展の歴史を学んだり、300機の写真と解説を見てマニア感に没入するのにお手頃の良書ということができます。広く普及するように推奨しておきます。

 ただし、それは、帆足さん編集の本文ページだけであって、巻末の国産機展示リストについては推奨できません。誤ったメッセージが伝わってくるからです。 多分、リストを編集した福澤計人さんの弟子による調査を福澤さんも帆足さんもイカロス編集部もチェックする余裕が無くて、そのまま印刷に回されてしまったものと思います。
 以下、私見を述べますが、アメリカなど海外における日本機展示リストについては、これも佐伯に云々する資格(知識)がありませんので私見から除外します。

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巻末データリスト 国産機 展示リストについて私見

第1 まずは実例から

 長くなるので、リスト1ページ目の北海道と青森県、9ページ目の中国5県を例示します。

1-1 撤去済み 日高分屯地のOH-6Jは、2014年のGoogle Earthで見る限り、姿がありません。
1-2 未記載 そのOH-6Jを川崎製の国産機の範疇に入れるのなら、T-33A、F-104J、UH-1系など国産に属するものがありますが、それを取り上げない理由?(以下各都府県で同じ疑問) 
1-3 機体間違い
 札幌市青年少年科学館に機種名川崎バートルKV-107U-4 備考JA7375 北海道警察とありますが、道警がKV-107を保有したことはありません。JA7375は道警の川崎ベル47G3B-KH4です。
1-4 未記載 
北海道には表示の4施設以外にも、倶知安郷土館のニセコ零戦、襟裳分屯基地のF-1などありますが、これ取り上げない理由?
2-1
 未記載 青森県三沢航空宇宙科学館の原寸レプリカ航研機、奈良原式二号機を取り上げない理由? (鹿児島県知覧特攻平和祈念館の隼は映画撮影用模型にも拘わらず取り上げてある等々と矛盾)
   

3-1 未記載 鳥取県航空自衛隊美保基地 のT-1BT-3、F-1を取り上げない理由?
5-1 名称誤記 広島県呉市の呉市海事歴史学館(愛称:大和ミュージアム)を、どうひねくったら大和博物館になるのでしょうか。
7-1 未記載 山口県海自/米海軍岩国航空基地、零戦レプリカを取り上げない理由?
7-2
 未記載 山口県小月航空基地のKM-2、T-34Aを取り上げない理由?

 未記載  どういう訳か岩手、神奈川、滋賀、大阪、徳島、沖縄の各府県がありません。いずれにも、国産化されたヘリなど展示施設があるのにです。

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第2 批 判

 リスト作成者の福澤計人さんとは、各務原飛燕の修復現場を視察する際にバスの中で名刺交換をしました。前席に居る私の耳に古今東西の航空事情に非常に明るい話しぶりがよく聞こえてきて、その博学ぶりに舌を巻いたものです。 博学ぶりは、Facebookなどの書き込みから多くの方がご存知でしょう。

 帆足さんは、本書の中で彼を次のように紹介しています。

 巻末の展示日本機のデータは、航空機研究家として有名な福澤計人氏(航空ジャーナリスト協会理事)が念入りに調査し、まとめられたものです。実際に見学に行かれる方にはいい参考資料になると思います。  

 また、福澤さんは私宛の手紙に次のように書いています。私信で恐縮ですが、批評の前提条件になるものなのでお許しください。

 佐伯様のウエブサイト『ヒコーキ雲』のリストを参考にさせていただきました。〜 日本機のうち大戦機は海外のものを含め、ほぼ実機を見学確認いたしております。戦後機も国内の過半も同様ですが、基地や駐屯地、公園での展示につきましても大変お世話になりました。展示施設のHP及びネットの衛星写真やグーグルアース等でクロスチェックをしました。


 皆さん如何でしょうか。黄色部分の記述どおりならば、事実との乖離は起こらなかったはずです。 何を載せ、何を捨てるかの基準を設定せずにリストアップの作業に着手したということではないでしょうか。
 また、佐伯のウエブサイト『ヒコーキ雲』のリストを参考にした、お世話になったと書いておられますが、それなら、事前事後に一言連絡があってしかるべきだし、参考資料としてインターネット航空雑誌ヒコーキ雲を書いておくのが常識だとも思います。

 ただし、載せてくれなくて幸いでした。

 インターネット航空雑誌ヒコーキ雲のリストは、既に亡くなった方を含めて各地のマニアが実際に足を運んで取材してきた汗の結晶とも言える作品であり、それをこのようなズサンな扱い方をされたのでは、六百人に及ぶ協力者に申し訳が立ちません。 参考資料ヒコーキ雲の表示がなくて本当に幸いでした。


 古今東西の航空事象に長けておられると尊敬している福澤さんからせっかくご恵送いただいたのに、このような批判を差し上げるのはまことに心苦しいですが、ここは、事情を明らかにして、 何らかの措置を執られるべきではないかと愚考している次第です。