問題提起 2008/04/13 日替わりメモ
○ 全世界の航空ファンに嫌われる事を承知で
先週の熊谷に続いて四国高松でも航空自衛隊ブルーインパルスチームが華麗なシュプールを青空にえがきました。たくさんの人々が感嘆の拍手を贈ったことと思います。
しかし、ここで私は考えるのです。地球温暖化、CO2、温室効果ガス排出等々毎日のように言われている事柄との関係を。
事業所がもくもくと煙を出している傍らで、庶民は省エネ〜と洗脳され、無駄な電気やガスを使うな、生ゴミは水を切って出せ、レジ袋は廃止だ、アイドリングストップだ、車に乗らず歩け等々と政府からPRの大攻勢です。
その政府の管轄下にある自衛隊がショーとして空中に排気ガスをまき散らして温暖化に貢献していることの矛盾を私はどう解釈すればいいのか。
有事に備えての訓練飛行のことを言っているのではありません。ショーとしての曲技飛行で莫大な化石燃料を消費し二酸化炭素ガスを放出することです。戦技研究や自衛隊PRのためだ、空への関心や国防意識を高めるためだといろいろ言い訳はあるでしょう。しかし、ショーという形式で地球環境を国みずからが悪化させていることを、次の世代にどう申し開きをするのでしょうか。
首相、防衛相、環境相殿
空中ショーの楽しさと環境悪化の矛盾を子や孫にどう説明したらいいのか教えてください。あれをレジ袋に換算すると何枚分になるのかも教えてください。
あの壮大なスモークと轟音の下では、我が家の省エネ努力などばかばかしくて消し飛んでしまいそうだと言ったら、笑われるのでしょうか。
全世界の航空ファンの中で、こういう声をあげたのは恐らく私一人でしょうから、そのうち袋叩きにあうかもしれません。でも、間違っているとか、あまりにも狭小な考えだと言われるなら、その理由を聞かせて頂きたいです。正直なところ私も迷っているのです。
反論 2008/04/14 日替わりメモから
● 反論 Aさんから
日曜日の放談のアクロ飛行と環境問題についてのご意見拝見しました。
私なりの解釈ですが、ブルーインパルスの存在は戦技研究と広報活動となってますが、実際は広報活動が中心だと思います。確かに燃料、騒音、排出ガスの事実はあり環境への悪影響はご指摘のとおりだと思います。
しかし、私は中学生の時F86ブルーインパルスを知り大きな感動を覚え私の人生にとってとても大切な存在でした。私同様の航空マニアはもとより、それをきっかけにパイロットや自衛隊員を目指した人は数え切れないでしょう。オリンピックの5輪の感動、大阪万国博覧会のEXPO‘70の煙文字、近年はT−4ブルーの長野五輪の開会式など演出効果の立役者的存在。他多方面の活躍は計りしれません。
昨年私の知り合いの全く飛行機に無関係な主婦が子供の行事で学校のグランドにいたとき、たまたま浜松航空祭で演技をしていたT-4ブルーが目に止まり、ビックハートやスタークロスの演技に感動し素晴らしかったと後日私に興奮して話してくれました。もちろん子供(女の子)も大喜びだったようです。私が言いたいのは、さりげなく多くの人に感動を与えているそんな存在もあってはいいのではないかということです。
失う物以上の得る物があるということです。無駄は許せませんが、人間の心の豊かさに繋がるのは間違いありません。世の中いいものが白、悪い物が黒。または信号でいうと青と赤。それだけで判断してしまっていいのでしょうか。
グレーがあってもいいじゃないですか。黄色信号があるからいいんじゃないですか。そこは人間各自の判断がはいりますから、それぞれな意見が出てあたりまえですが、ブルーインパルスはある意味日本の代表で広告塔ですし大目にみて頂けることを祈ります。私個人は人生最後までブルーを応援し続けたいと思います。
● 反論 Bさんから
自分も結構、温暖化問題には興味ありますよ。でも積極的には行動していません。ゴミの出し方を厳しくしているくらいですかね。
ヒコーキの温暖化影響についてですが、わかっちゃいるけど、やめられないですかね。ハレの舞台ですし、あまり気にすると萎縮しちゃいます。ドーンといって欲しいものです。
佐伯から : 放談への対応を感謝します。お二人の意見が大多数の思いでありましょう。犬一匹がいくら吠えても政府が自衛隊の公の飛行ショーをやめさせることはないし、民間へ自粛を呼び掛けたりもしないでしょう。私の想定内です。
ただ、航空ファンの方々に申し上げたいのは、最前列に脚立を立てて後ろの人が迷惑しようがなんであろうが自分さえいい写真を撮れればいいという感覚と、次世代の人々が環境悪化で如何に困ろうとも、今の自分が航空ショーを楽しめればいいのだという感覚が一緒になってはいけないということです。
その意味で小さな小さな一石を投じたつもりです。
蛇足ですが、地球環境が主要テーマの洞爺湖サミット(7/7〜7/9)に、ブルーインパルスが曲技飛行をしてみたら、日本の総理大臣は素晴らしい歓迎だったと賞賛を浴びるでしょうか、それともひそかに感覚を疑われるでしょうか? 国威発揚と地球環境テーマのはざまで悩ましい問題です。(もちろん飛行予定はありません)
感想 2008/04/15 日替わりメモから
● 感想 Cさんから
佐伯さん ブルーインパルスと環境との話は興味深いものがあります。物事には両面の見方があるということでしょう。
航空ファンにしてみれば、ブルーインパルスの飛行そのものに関心があり、環境に対する配慮には気が回らないでしょう。
昔、名古屋のエアショウで米国海軍のブルーエンジェルスのファントムの曲技飛行がありました。超低空飛行の騒音に地元住民から苦情が出て、会期半ばで、この曲技飛行は中止されました。
私は東名高速道路で友人の自家用車を交代で運転して見に行きました。幸い中止になる前で見ることが出来ました。我々には幸いですが、地元の飛行機に何の関心も無い人にとっては、さぞ迷惑なことだったと思います。
ただ、航空ファンの立場からすれば、年に何回もないエアショウの排気ガスをいうなら、毎日3000cc以上の車を1人で使用している人がたくさんいるでしょう。その方が影響は大きいような気がします。データが無いのでなんともいえませんが・・・
立場の違いで見方が変わる例でもう一つ。
山梨県から帰る列車の中での話です。中年以上の絵を描きにきた女性たちの話です。
写生をするのにいい場所が見つかった。民家の庭からの眺めが一番いい。そこで民家に声を掛けたが留守だった。庭に入り絵を描いていると、家主が帰宅。人の家の庭で無断で何をしているか。すぐ出るように言われた。
「折角東京から電車賃を使って描きに来ているのに、毎日見ている人は、少しくらいそういう人を庭にいれても、いいじゃない」と話しているのを聞いて、あきれてものが言えなかった。
無断で自分の庭に見知らぬ人が入っている人の気持ちなどまったく意に介していない。両面の見方が出来るのが大人だと思う。その意味で佐伯さんは大人だと思います。とかくマニアとは物事に没頭して、周りが見えなくなる人のことを言うようです。鉄道マニアの線路に入り込んで写真を撮ったりする行為もそうでしょう。ヒコーキ雲を見ているひとりとして自戒したいと思います。
佐伯から : 暖かい感想をいただきました。ありがとうございます。
昨日、所用があって江田島へ行き、ついでに旧知の江田島市長曽根薫さんに会ってきました。海上自衛隊の教育施設や米軍弾薬庫を抱える基地の島ですが、若い隊員のお陰で住民の平均年齢が下げらるというメリット、或いは基地交付金が一般財源に占めるウエイトなどの利点を生かして基地との共存の中で地域の振興に努力しています。
その市長をしても、岩国基地への艦載機部隊移転についてはこの島も相当の騒音被害を受けるのではないかと悩んでいる様子でした。Cさんが言われるように複眼でモノを見る、そういう感覚で仕事をしている限りは、江田島市は大丈夫だなという気がしました。
岩国市長選挙のようにYES・NOの極論だけで争い、市制を運営するようだと、どっちになっても円満なことにはならないでしょう。
地球環境という側面だけ見ずに、Aさん、Bさん、Cさんの考えを紹介できたことをもって、とりあえずこの問題を打ち切ります。
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