掲載08/08/15
《旅行記》 IBEX 広島〜成田線 洞爺湖サミットの日搭乗記
佐伯邦昭
2008年7月7日から3日間広島から東京へ旅行しました。航空探訪が主体ではなかったのですが、ちょうど北海道洞爺湖サミットと重なり、行きの航空機利用で警備に遭遇したりしたので、そんな経験を書いておきます。
2008/07/07
1 出発
広島空港発全日空コードシェアIBEX社のANA3128便は、7時45分発です。JR広島駅前発の空港リムジン第1便(6時発)で空港へ。いつもながら、この便は満席で、積み残しは5分後に第2便で救済です。首都圏への出張もしくは出張帰りのビジネスマンらしい人が7〜8割をしめています。
空港に着くと何やら歓迎の横断幕 ― にあらずCAT-Va運用開始の幕でした。
CAT-Vaのお陰で、欠航が減ったことは確かなようですが、今年に限っては梅雨らしい梅雨がなく、着陸に支障がでるような霧の発生が多くありませんでした。お天道様がキャットスリーエーに敬意を表したのかな。
2 田舎者なので
皆さんには常識なのでしょうが、久しぶりに購入する私には飛行機のチケット方式が随分変わりました。後世への記録として留めておきましょう。
まずは、ロビーのカウンター前で、もの欲しげにうろついていれば必ず親切な制服のお姉さんが寄ってくるので、要件を言うと、ちゃんと所定の機械の前に連れて行ってくれて、このボタンを押しなさい云々と教えてくれます。便利なもんです。しかも暗証番号の時だけそっぽを向いてくれます。
言われたとおりあれこれボタンを押していると、次のようなチケットお客様控えとクレジットカード明細が出てくるのです。(運賃がえらく安いのは、某氏ご配慮による株主優待券使用のためです。感謝)
以前と違うのは、今頃はやりのバーコードをタッチするだけで搭乗口を通過できることで、チケットを機械にさしこみ、出てきた半券を取る方式は消えました。
ただし、どこから出てくるのか忘れましたが、次のような赤紙を手渡されます。目の悪い老人が行き先や座席番号を間違えてはいけないという思いやりですかね。
3 洞爺湖サミットの影響日替わりメモへ、北海道洞爺湖サミットのために最悪の旅行日程にしてしまったと書きました。それは、重点警備のひとつである成田空港へ乗りこむので、手荷物検査で長引いたり、うかつにカメラを振り回したりしていると挙動不審で、ちょっと来いになるのではないかという危惧でした。
しかし、それは杞憂に終わりました。私ごとき小者がマークされるはずもないからであります。
ただ、1回だけ普段とは異なる検査を広島空港でうけました。機内預けの手荷物検査と出発ゲート入口での金属探知器検査で終わらず、成田行きの搭乗口Aを出てからもう一度検査を受けたのです。それは成田便だけなのです。
プライバシーを考慮して遠慮がちに写しましたが、搭乗口Aを出てからテーブルの上にバッグを置いて、頭のてっぺんから足先まで、バッグとポケットの中身、幼児までボディチェックです。坊主頭の人は私服警官。その脇を全日空沖縄線搭乗のCAさんたちが気の毒そうに(哀れそうに見て)通っていきました。
● 搭乗開始 1番スポットへ歩いて行く
搭乗開始となり地上へ降りて、1番スポットへ向かいますが、目の前の2番スポットのボーイング767の作業階段の前にも屈強な監視がついています。恐る恐るカメラを向けましたが、ちょっと睨まれただけで、不審者扱いは受けませんでした。
それならと、約70メートル先のCRJに向かって、シャッターを押しつつ歩きます。こういう時は液晶モニターを見ながら構図を決められるデジタルカメラは便利です。ただ、早朝の1番スポットへの方角はひどい逆光ですので、ロクな写真が撮れません。もちろん露光などをセットし直す余裕はありませんしね。● IBEX Canadair Regional Jet CRJ-100ER JA02RJ
CRJのタラップを登る前に、さっと振り返って2番スポットを撮ります。このとおり順光でいい写真になりました。8時10分発沖縄行きのボーイング767-381JA8256 このロクナナは1986年製、ぼつぼつ寿命でしょうか。
(注) 以前、2番スポットは日航が使用と書きましたが、3番スポットの誤りでした。写真はビル内から撮った3番スポットのJAL東京行き1便エアバスA300-600 JA-011D
4 IBEX Canadair Regional Jet CRJ-100ER JA02RJ 機内にて私は、広島からの東京便では必ずA席―つまり左窓側の席をとります。理由はただひとつ、富士山を見たいためです。この日も日差しが強い広島空港を東に向って離陸し、白竜湖カントリークラブなど見覚えのある広島県央の地形を見ている間は雲がなく、この分なら富士山もと期待しました。
● 富士山は見えなかった
しかし、中国地方の最高峰伯耆大山(ほうきだいせん写真中央の右寄り)を左に見る頃からこのように雲が出てきて、知多半島から太平洋へ出ると密雲上の飛行になってしまいました。
● 絶景ビューポイント
IBEX社のホームページに、絶景ビューポイントというページがあって伊丹から仙台、庄内、秋田の各路線の空撮写真が出ています。画像が小さいのでなにが絶景なのかよくわからないし、これを見てIBEXへ乗ろうかという人は現れないと思います。ならば、例えば九十九里浜から成田空港へのアプローチ下に点在する無数のゴルフ場なんぞを名前を付けて見せてくれたら、これぞビューポイントなりと喜ぶ人がいるかもしれないと考えたりします。● 脚は陸地で降ろすな
「当機は成田空港へ向かって着陸態勢に入りました。座席ベルトを‥‥」とアナウンスがあって10分ぐらいたってから、ドスンと脚が降りる音がします。
あれっ? 雲の切れ目から下を見ると船が見えます。まだ海上です。そこから左へ旋回して九十九里浜から成田への長いアプローチとなります。後日聞いた話ですが、成田へ降りる旅客機は陸地へ入る手前でギアダウンだそうです。国際線の機体が民家の上に氷塊を落としたりするので海上で始末して来いという訳です。脚下げの長いアプローチでは随分と空気抵抗によるロスが生じますが、そんな点でも成田は地域に気を使っています。
● Canadair Regional Jet CRJ-100ER
CRJ-100ERとCRJ-200ERは、近年Q-400でマスコミを大いに賑わしているBombardier Aerospace(マスコミ用語はボンバル社)製ですが、DHC-8のトラブル多発にくらべてマスコミへの登場が至って少ないです。
CRJがもともとがリアジェットを作っていたカナディア社の設計、DHC-8がデ ハビランドカナダ社設計で、それを世界有数の鉄道メーカーであるボンバルディア社が買収したものですから、設計思想、生産工程や下請対応などに違いがあるのかもしれません。
IBEXは、CRJ--100ERと-200ERをそれぞれ2機保有しています。両者とも50席で、違いは-100ERのエンジンがCF34-3A1、200ERがそれを低騒音型にしたCF34-3B1を積んでいることと、後部トイレの位置が変わっている程度で、外形は全く同じです。
座席は革張りで、乗り心地は悪くありません。客席を50人から70人、90人としたタイプも既にベストセラーの仲間入りをしているそうです。
70〜100人乗りタイプのリージョナル ジェット旅客機の世界は、もとより激戦地帯です。そこへ5年後に突入していく三菱MRJの運命や如何に! 成功を祈らないではおれません。
● Flight Certificate
さて、小会社のいいところはCAさんのサービスです。今日もほぼ満席で幼児も多く、久保田里紗CAは大変に忙しそうでした。
しかし、私がアイコンタクトをしてビニールケースを渡しましたら、にっこり微笑んでOKのサインをくれ、後刻、搭乗証明書を作ってきてくれました。ビニールケースには過去の証明書をいれておいたので、お得意様として名前も分かって貰えますよね。
参考までに過去の証明書を縮めてお見せしましょう。
フェアリンク時代からFlight No.が3128で変わっていません。
5 成田空港到着
9時10分ごろ成田空港のAランへ接地しました。どこをどう走っているのか長い長いタキシングの末にスポットへ停止しました。外では合羽を着た作業員がCRJとバスの間に幌付きの通路をセットしています。1時間半前の広島は晴れ、成田では強い雨、日本は広いです。
● 到着ゲートへ向かうバスの中から
中国国際航空のボーイング737-700 B5203
どこを通っているのかさっぱりわからない バスの右窓から
● 第1ターミナルビルに到着 エアバスA380を見るためには
バスは、迷路みたいに走って第1旅客ターミナルの到着ゲート(2階らしい)で降ろされました。また検査があるのかと思いましたが、さすがに国内線到着ゲートには警官も警備員の姿もまばらでした。出発地であれだけ厳重にしていれば必要ないということでしょう。成田空港での当面の目的は、あらかじめ和田一也さんから教えて貰っていたシンガポール航空のエアバスA380を見ることです。中央ビル1階にある案内所へ行って、そこで目的を言うと、次のとおり電話で調べながら親切に教えてくれました。
1 A380は既に到着していること、
2 出発は11時30分、A滑走路であること、
3 駐機は第4サテライト 46番スポットであること
4 それを見るには、南ウイングのエレベーターで4階まで昇ること
5 タキシングと離陸を見るには、もう1階あがって展望デッキへ行くこと
大きな地図のついた案内パンフレットもくれたのですが、そいつをどこかに置き忘れたので、今は、うろ覚えで書いています。
● 南ウイング4階出発ロビーから第4サテライトを見る
南ウイング4階出発ロビーの混雑している出国審査場の行列は無視して、大きなガラス張りの休憩コーナーへ行って第4サテライトを見下ろしました。ガラス越しで、しかも雨ですから写真写りはどうにもなりませんが、おー、確かにA380がいました。
失礼ながら、手前のSTAR ALLIANCE ボーイング777-381ER JA731Aが邪魔であります。A380の高さがず抜けているのを確認するだけで、諦めざるを得ませんでした。その代りと言っては何ですが、ひとつのブースを占拠しているシンガポール航空株式会社のカウンターを記録しておきました。 10時過ぎ頃ですが、11時30分発SQ637便 チャンギ空港行きチェックインの長い行列です。整理の職員に「多いですね」と尋ねますと「ありがとうございます。おかげさまで毎日満席が続いております」との答えでした。旅行社のツアーが当たったのでしょうが、すごい人気です。
● 参考までに、南ウイングの窓からは、その他こんな機体が見えました。
SAS エアバスA340
STAR ALLIANCE ボーイング777-381ER JA735A
キャセイパシフィック航空
アリタリア航空 向うに塗装を落とした747 元JAL機か?
いずれも成田の常連さんなら珍しくもない機体であり、天気の良い日に中からでも外からでも鮮明な写真を撮っているのでしょうが、田舎者にとっては厚いガラス越しの雨中写真でも貴重なものと思いシャッターを押しました。
● A380の離陸見物は見送りさて、A380が動き出すであろう11時半までねばることも考えましたが、5階展望デッキで傘をさして写す気にもなれず、別用件の茨城県取手市へ行く時間も迫ってきましたので、以上で成田空港探訪を終えました。
皆さんには、興味もない探訪記でしょうが、旅客ターミナルのロビーというロビーには、20メートル置きくらいに台が置かれて長い棒を持った武装警官が立ち、しかも、数人連れが絶えず巡回している雰囲気のもとで、これからヒコーキに乗るのではない男が写真機を2台首からぶらさげて歩きまわるという経験は特異なものでした。
その後、地下の鉄道駅で飲み物を買ったのはいいのですが、空瓶を捨てるところがすべて封鎖されていて困りましたし、電車から間違えて降りて第2旅客ターミナルの地下入り口に出てしまい、そこのセキュリティエリアというのでしょうか、箱根の関所みたいなところにたむろす警官から、一人でうろうろしている私を一斉に見詰められてどっと汗が噴き出た経験も特異なものでした。
終わり
おまけ
その翌日日本航空協会へお邪魔し、PRを頼まれましたので。