掲載11/11/06
空自幹部候補生学校は厄介者払いをしたのか
佐伯邦昭
航空自衛隊奈良基地 幹部候補生学校に屋外展示されているノースアメリカンT-6
@ 2005年 ビニールを張ったキャノピー天蓋
撮影2005/05/21 吉田家
A 2010年 大きく破損しているキャノピー天蓋
撮影2010/05/29 GUNDAMZAK
右翼ライトのカバー
B 日替わりメモ2010年5月29日
○ 哀れな屋外展示
5月22日土曜日に行われた奈良基地祭の写真を頂きました。いつもと変わらない風景なのでニュースとしての紹介は略させて頂きますが、ただ、資料の屋内展示が3教室をつぶして行われたようで、多分、恒久の参考館になるものと思われ、有名な旧陸海軍人の遺品や業績などが大量に追加されています 。幹部候補生学校として、軍人精神を涵養(かんよう)させる目的なのでありましょう。それに異論はありませんが、目を屋外展示機に転ずると、これが教育の在り方なのかと疑わしくなる、以前からこの学校の体質が如実に現れています。
何年か前には、破れたキャノピーにビニールを被せていたこともありました。ほっておくと、こうなるのだよ、と学生あるいは市民に教えているのでしょうかね?
C 2011年 奈良基地公式ホームページ
23.9.14 奈良基地に展示されていました「黄色いレシプロ機」 T−6初等レシプロ練習機は、小牧基地の「ぜひ我が基地のえん体内に展示したい」との要望により、このたび晴れてお嫁入り(?)しました。
奈良基地から颯爽と離陸し……とはさすがにいかず、小牧基地の隊員の手であれよあれよというまに分解され、トレーラーと大型トラックに乗せられ、奈良基地を離れました。
小牧基地でお色直しされ、皆さんに末永く愛されますよう、心からお祈りいたします。
C 2011年10月23日 小牧基地にて公開
撮影 MAVERIC
以上、順番に見ていくと、奈良基地のホームページの『小牧基地でお色直しされ、皆さんに末永く愛されますよう、心からお祈りいたします』の文句には思わず笑ってしまいました。
永年、壊れ放題で放置しておいて『小牧基地でお色直しされ』とはよく言うよ。小牧から引き取りたいとの申し出があって、渡りに船とばかり厄介者をお払い箱にしたのであろうと思われても、反論はできないでしょう。空自の幹部を教育する場としてふさわしくない恥を一般にさらしていたのですから。
10月23日に小牧基地の掩体壕で、奈良から来ていることを知ったMAVERICさんは次のように書いています。
『航空自衛隊創設期から多くのパイロットを養成してきたT-6を放出することは幹部候補生学校として私としては納得できません。学校であれば戦闘機の展示よりも練習機の展示を重視するべきであり、T-6が朽ち果てたのなら仕方が無いが、小牧で展示できているのだから、修復・整備をきっちりしていけば展示の継続ができたはずです。』
もっともですね。
奈良基地は、ノースアメリカンF-86Dの#196号機を殊更に#100にしたり、機体説明板の表示に極め細かな配慮を欠いているなど、問題の多いところです。校内の隅々まで正しい教育環境に目を配る必要があるのではありませんか。今回のノースアメリカンT-6の他基地への放出は恥であると心得てください。