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ヒコーキマニア人生録・図書室 もの申します 掲載12/01/19

[公開質問状] 日本航空協会航空遺産継承基金に問います

佐伯邦昭
 

2012/01/13
 

〇 [公開質問状] 日本航空協会航空遺産継承基金に問います

 既に一昨年あたりから、展示保存機は、印新規よりも×印撤去の方が増える傾向にあります。航空が国民生活に急速に身近なものになりつつある時、逆行するするような事態は寒心にたえず、まさに展示保存機受難の時代に入っています。こう申している間にもどこかの航空産業遺産が×印撤去という運命に遭っているかもしれません。

 さて、日本航空協会航空遺産継承基金の平成23年度事業計画に次の項目があります。

3 資料の調査研究
 (1) 航空機を対象とした悉皆(しっかい)調査を本年度から始め、調査結果を平成25年度にまとめる。  

 その内容を問うたところ、展示保存機類の調査であり、当然ながらインターネット航空雑誌ヒコーキ雲の協力を求めるとの答えでした。しかし、年度末が近づきますが特段のアプローチはありません。
 こちらから、崇城大学にあるB-25に搭載したというR2600エンジンについて調査してほしいと要請しても返事もない状態です。

 めぼしいものだけを重要航空遺産とかで認定証を発行するのも結構ですが、そういう東京人好みのアカデミズムの前に、まずは、全国に何があるかを(概略でもいいから)把握するのが筋というものではありませんか。悉皆(しっかい)調査とはそういう意味ではないのですか?

 日本航空協会航空遺産継承基金は、賛助員としての佐伯にではなく、正しい航空思想の普及を願っているすべての人に対して、具体的な答えを発信してください。

 2012年1月13日
                     インターネット航空雑誌ヒコーキ雲制作者 佐伯邦昭


2012/01/14

  [公開質問状] 日本航空協会航空遺産継承基金に問います

 昨日、協会から反応の電話を頂きました。崇城大学にあるR2600エンジンについては、当方が送ったメールに心当たりがないとのことでしたので、趣旨を説明しておきました。早速大学と連絡を取ってみるということと、公開質問状に対する回答も来週中には送信するとのことです。期待して待ちます。

     

2012/01/18 回答

                                       2012年1月18日
佐伯 邦昭 様

                                                                                財団法人日本航空協会
                                                                                航空遺産継承基金事務局

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 佐伯様におかれましては、日頃から航空遺産継承基金賛助負として日本航空
協会の航空遺産継承活動をご支援いただくと共に、貴重な航空遺産をご寄贈い
ただくなど広範囲にわたるご協力をいただき、心から感謝申し上げます。

 先日ご質問いただきました、当協会が計画しております航空機を対象とした
悉皆調査について、以下にご返事を申し上げます。

 ご質問にありますように、平成23年度の航空遺産継承基金の事業計画におい
て「航空機を対象とした悉皆調査を本年度から始め、調査結果を平成訪年度に
まとめる」として、本年度から当該事業を開始しております。日本に残る航空
機の所在や内容を調査しまとめることは、佐伯様の言われる通り、今に残る航
空機の散逸を防ぎ、後世に伝えるための基礎的な資料になると考えております。

 本年度は調査の第一段階として、調査対象、調査項目の検討などを行っていま
す。昨年、サンプル的に地上展示されている航空機を調査いたしましたが、個々
の機体の特定に必要となる重要な情報である製造番号などは実際にその様体の前に立っても確認が難しいこと、また、機体の運用時の経歴に関する資料は保
管されていない場合が少なくないことが分かりました。

 これらの知見を踏まえて調査の進め方を決定して、来年度には調査の第二段階に進み、その後、調査結果をまとめたいと考えております。

 先にもお伝えしましたように、今回の航空機の悉皆調査に際し、佐伯様がこ
れまでに制作されてきましたインターネット航空雑誌ヒコーキ雲の「都道府県
別展示保存機総覧」の情報は大変重要なものと考えております。調査の具体的
な内容等が決まり次第ご連絡させていただきますので、ご協力いただけますよ
う何卒よろしくお靡い申し上げます。
                                                          敬具

 

2012/01/19

佐伯から : 前向きのご回答に接し感謝いたします。

 その上で愚見を申し上げます。

@  まずは調査に当たられる方の足腰を鍛えるという意味で、全国の公的施設に所蔵品リストを提出させて、その一覧表を作ってみては如何でしょうか。既に明らかになっている物以外に整理できずに保管している資料が相当数あるはずです。
 
例えば、

・ 呉市海事博物館には、故堀越二郎氏夫人から託された遺品類、誉12型エンジンとプロペラ、ハ-102式エンジンとプロペラ、甲式四型戦闘機のプロペラなど

・ 東京大学へ寄贈されたセスナ195(JA3002)など同大学構内に知られないままに保存されているであろう諸資料

・ 陸上自衛隊立川駐屯地史料館、航空自衛隊築城基地や新田原基地史料館など非公開の自衛隊施設に雑然と保管されている資料

などですが、所沢航空発祥記念館の土井コレクション、木村秀政コレクション、喜多川写真館資料なども、きちんと整理してリストが公開されているとは言い難いのではないでしょうか。

 期限を付けて申し入れて、協力しない公的団体は名前を公表するくらいの強い決意で臨んで貰いたいです。

A  回答中の『製造番号などは実際にその様体の前に立っても確認が難しいこと、また、機体の運用時の経歴に関する資料は保管されていない場合が少なくない』というのは、確かにその通りですが、『分らない部分は分からないと記録する』という対応ができないものでしょうか。完ぺきを期していたら百年河清を待つことになりかねません。

 まずは、どこに何があるか、何があったかというリストを公的に整えるのが最重要課題と思います。その面では、おっしゃるように「都道府県別展示保存梯総覧」から十分に協力できると思うし、それが延べ数百人にも及ぶであろうヒコーキウオッチャー達の汗に報いる道だと思うのです。