2005/10/17
拝啓
北海道空港株式会社社長殿
北海道空港株式会社社(大株主)北海道知事殿
北海道空港株式会社社(大株主)千歳市長殿
航空歴史館家集団代表
インターネット航空雑誌ヒコーキ雲制作者 佐伯邦昭
千歳空港ビルディングの原寸模型機の撤去について
北海道空港株式会社の定款には「航空思想普及のための事業」という一項があり、新千歳空港ターミナルビル内におけるさまざまな展示や啓発活動は、訪れる人々特に航空に興味を抱く青少年に感動と知識を与えてきました。 なかでも、ちとせ・大空の夢 アミュージアム スタンプラリーは、素晴らしい原寸模型のコレクションをつぶさに観察しながら、最後には大空百科という67ページものの内容豊富な冊子を頂き、これらは、展望デッキからの実機観察とあいまって子どもたちへの航空思想の普及にどれほど役立っているかわかりません。 展示されている原寸模型は、考証も行き届き、その実物感は、何十分の一かのスケールモデルでは絶対につかめない貴重なものです。
しかるに、最近の報道によりますと、原寸模型を撤去するということです。現にリンドバーグの大西洋横断ライアン機が撤去されてしまいました。 フロアスペースが手狭なので、原寸模型を撤去するという理屈でしょうが、撤去されたリンドバーグ機の跡はティーラウンジになっています。目的は、ビル利用者の歩行空間確保等ではなく、使用料増収策であることは明らかです。
航空思想の普及を犠牲にして、食堂や売店を増やそうというお考えには、如何にしても共感できません。某サイトの掲示板に載った、次の投稿にどう答えられますか?
▽ 北海1号の撤去は千歳市が「北海道の空の表玄関」ではなくなるとき
現在イカロス出版から発売されている空港シリーズ最新刊は、奇しくも「新千歳空港」です。1/1レプリカ航空機の展示について、運営会社の方(?)が誇らしげに語っておられます。その最中の撤去問題。この取材時には撤去は決まっていたのでは?という疑問が湧きます。だとしたら、「大嘘つき!」っていう感じですね。皆さんも、読んでみて下さい。
また、ごく最近の報道では、なんと北海1号まで撤去するとあります。12日付けの千歳民報は「空都の象徴 撤去へ」という見出しをつけて、地元の方々の「せめて北海1号だけでも展示を続けてほしい」という声を紹介しています。村民の勤労奉仕で作られた千歳飛行場であるからこそ、そこへ喜びの一番機として飛来した北海1号をいとおしむ気持ちはよく理解できます。 解体せずに、将来的な活用方法を検討中とのことですが、実機と見まごうばかりの原寸模型は、新千歳空港内にあってこそ、脈々と続いてきた千歳の航空魂が生きるのです。撤去される日は、千歳市が北海道の空の玄関としてのステータスを失う日となるでしょう。
社長さん、この際十分にお考えください。
株主の北海道知事さんと千歳市長さんは、北海1号が北海道史の中の一断片に過ぎないと過少評価されますか。戦後、北海道の発展や国際化に尽してきた千歳飛行場の役割とその原点を十分に思い起こされて、会社を指導していただくようお願いします。
@ 北海道空港株式会社からの回答文
平成17年10月26日
北海道空港株式会社 総務部総務課
拝復 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引立を賜わり 厚くお礼申し上げます。
北海道並びに千歳市より、佐伯様からの新千歳空港内の模型飛行機に関するご意見について連絡を受けましたので、ご返事申し上げます。
この度は、新千歳空港内の展示模型飛行機について貴重なご意見を頂きまして、誠に有難う御座います。展示模型飛行機を含め、当空港において展開しております航空思想普及事業が、多くの皆様にご愛顧頂いているものと感謝申し上げる次第であります。
さて、大型模型飛行機につきましては、新千歳空港開港であります平成4年より設置を始め、13年余りが経過したために、老朽化が著しく安全上の問題が指摘されている ところであります。また平成4年当初、約1千4百万人でありました乗降客数が、近年には約1千8百万人台にまで増加し、旅客動線の確保、利便性の向上等、フロアの利用状況も大きく変ってきており、空港利用者の安全の確保が重要となって参りました。
展示模型飛行機は何れも新千歳空港の航空思想普及事業のシンボル的な存在として展示してきたものであり、展示を継続すべく設置場所の変更や、設置方法等について種々検討を重ねて参りましたが、諸般の事情を考慮し、差し当たり空港内フロアより 引き上げることとし、今後、同機の新たな展開を検討することとさせていただきます ことをご理解いただきたいと存じます。
補足でございますが、既に撤去しております3階フロアの「スピリット・オブ・セントルイス号」の跡は、イス等を設置し無料の休憩スペースとしてお客様にご提供させていただいて おります。
尚、弊社と致しましては、小冊子の継続的な発刊や、航空関連ホームページの充実、スタンプラリーの実施等、航空思想普及事業を通じ、利用者にとって有益で発展性ある施設提供ができる様、取組みを進めて参る所存でございますので、今後もご愛顧賜わります様、宜しくお願い申し上げます。
A 千歳市からの回答文
このたびは、「市長へのポスト」にご投函いただきまして、ありがとうございました。いただきました事項につきましては、次のとおり回答いたします。
貴重なご意見ありがとうございます。また、日頃から航空思想の啓発に力を注がれていることに深く敬意を表します。
さて、新千歳空港ビル内の「北海1号機」の模型機の撤去につきまして、作製・展示をしている北海道空港鰍ノ対し、貴方からのメールの内容を伝えるとともに、模型機の撤去の経緯について照会し、次のとおり確認をいたしました。
「北海1号機」の模型機は、平成4年に、新千歳空港ターミナルビルのオープン時から、3階の飲食店スペースに展示しておりましたが、展示場所は飲食店を除き、唯一ターミナル内から滑走路が見学できる場所であり、またくつろぎの場所としても利用する方が増えてきたことなどから、平成13年に1階へ移設し、現在その空間については、商業施設ではなく、椅子等を配置し、空港利用者の休憩スペースとして開放しております。一方、移設した1階においても、施設の狭隘から、レンタカー受付カウンターや郵便局が、模型機により、わかりにくくなり、夏場は特に混雑し、その改善を利用者や入居者から求められておりました。
このようなことから北海道空港鰍ニしては、千歳に空港ができたきっかけとなった北海1号機が航空思想の普及に必要であることは認識し、展示を継続するため、その他移設場所の検討を行ったものの適当な場所がなく、今後の使い道を検討し、将来的に復元可能な状態で解体保存しておくこととしたものであります。
本市としましては、これまで北海道空港鰍ェ新千歳空港の歴史を十分に認識し、自主事業として北海1号機の製作・展示などをはじめ各種の航空・空港思想の啓発にご尽力いただいていることは理解したなかで、空港発展の礎のシンボルとして、多くの空港利用者に見学いただけることが望ましいことから、その対応について検討を依頼したところであります。北海道空港鰍ゥらは、現ターミナル施設の狭隘や代替場所などの現状を考慮し、各種検討した結果、難しいとの回答を受けており、現時点においては、適切に保管をしていただくことをお願いしているところであります。
なお、航空思想の啓発につきまして、北海道空港鰍ヘ、空港見学者に配布する「大空百科」と児童用の空港紹介パンフレットを空港内に設置するなどして、新千歳空港の歴史を紹介していると伺っております。
また、市におきましては、空港内の「空港公園」に、市民及び空港関係者のご協力により建立された、北海1号機のモニュメント、酒井憲次郎操縦士のブロンズ像、着陸場を造成した当時の村民を讃える石碑を大切に守るとともに、先人の偉業を後世に引き継ぐことを目的に、空港・航空の各種行事を通して、啓発に努めておりますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
このたびは、貴重なご意見をいただきありがとうございました。
千歳市長 山口 幸太郎
(「市長へのポスト」担当:企画部広報広聴課広聴係)
B 北海道庁からの回答文
今回は、大変貴重なご意見ありがとうごさいます。
ご指摘のとおり、現在、北海道の空の玄関口となっている新千歳空港の前身は、村民の勤労奉仕で造られた千歳飛行場があったからこそであり、そこに一番機として飛来した北海1号はその象徴ともいえる存在だと思います。
今回の展示模型機の撤去について、北海道空港鰍ノ問い合わせたところ、
1.展示を開始から十数年が経ち模型の老朽化など、安全・保守上の問題が生じていたこと
2.利用客の増加により設置されていた1階では狭隘化が進み、特に夏期の混雑時には、空港利用者や入居者から改善を求められていた こと
上記の状況の中、移設場所の検討を行ったが、適当な場所がなく、将来的に復元可能な状態で解体保存しておくこととなったとの回答を受けています。
道といたしても、以上の北海道空港鰍ゥらの回答を踏まえたうえで、今後も北海道の発展や国際化に尽くしてきた新千歳空港の貴重な歴史の一端を物語る象徴として、展示模型機を何らかの形で残すよう、依頼したところですので、ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。
北海道企画振興部交通企画課国内航空グループ
連絡先:TEL:011-231-4111 内線:23-772
FAX:011-232-4643