戸田保紀さんの「T-2ブルーインパルスの誕生」(廃盤)を拝見していて、ふと思い出したことがあり、これも航空歴史上の一こまになるのかなと思い投稿します。
それは、古い話ですが1982年7月25日のT−2ブルーインパルスのデビュー(松島基地)の編隊長機のスモークの色が紫だったことです。写真は、画質が非常に悪いですが、すくなくとも白でないことはご理解いただけるでしょう。
今になって考えてみると、おそらくF−86F、T−2、T−4を通じて、編隊長機のスモークが白でなく色つきだった唯一のケースだったのではないか思うのです。(しかも、その色が紫で、編隊長機以外の機でも、おそらく一度も使われなかったと思います。)
デビューの時に「おやっ!」とも思ったのですが、T−2ブルーインパルスは今後とも、これで行くのだな、いつでも見られるなと思い込み、さほど意識はしませんでした。
しかし、この年の2回目以降の展示飛行では、編隊長機のスモークは全て白になっています。下表のとおりです。
そこで初めて気がついたのですが「紫スモーク」は、デビューでの特別の演出だったのではないでしょうか。
デビュー時の天候が非常に悪く、紫スモークを使ったフル演技が見られなかったのが返す返すも残念です。その日は、編隊長機(紫)と2番機(赤)の編隊離陸、また、5番機(緑)と6番機(黄)の編隊離陸が行なわれたのみでした。
5番機と6番機
右側の前の機体が5番機(#111)で緑スモーク、向かって左側の後ろの機体が6番機(#112)で黄色スモークです。
なお、3番機(青)と4番機(白)は、スモークをだしての模擬滑走を行なったのみで飛行はしませんでした。
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松島基地
7月25日 |
千歳基地
8月8日 |
三沢基地
9月19日 |
浜松基地
11月14日 |
編隊長機 |
紫 |
白 |
白 |
白 |
2番機 |
赤 |
白 |
赤 |
赤 |
3番機 |
青 |
白 |
青 |
青 |
4番機 |
白 |
緑 |
白 |
白 |
5番機 |
緑 |
青 |
緑 |
緑 |
6番機 |
黄 |
黄 |
黄 |
黄 |
千歳では半分カラーの変則で、三沢と浜松が以後の標準となるはずだったものと思います。
T-2ブルーインパルス デビューは当時の4社の航空月刊誌の10月号ニュース欄と航空ジャーナル別冊「T-2ブルーインパルス」に紹介されていますが、スモークの色の解説は皆無ですた。また、写真も、白黒の方が多く、#176と#172のスモークを出しての写真は航空ジャーナル12ページ目の1枚のみでした。
この写真を見ると#176のスモークは確かに青っぽく見えますし、別冊のキャプションではブルーとしていますが、赤のはずのスモークも黄色っぽく見え、印刷の発色の関係でよくわかりません。3番機が青だったので、編隊長機(#176)も同じ青というのも疑問にも思います。
私には紫(実際は白っぽくなるため藤紫というところしょうか)に見えました。
どなたか、より鮮明な写真の提供者がいらっしゃればありがたいのですが。また、当時の関係者のお話しも聞きたいです。
参考 浜松航空祭 撮影1982/11/14 イガテック