A5602 兵庫県加古川市 神戸電子機械株式会社
加古川センター
Kobe Electro
Mechano, Kakogawa City, Hyogo Prefecture |
◎ ノースアメリカンF-86F
撮影2002/4 静山子
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無造作に置かれた垂直尾翼には消えかかっていますがシャチホコのマークが見えます。方向舵も取れていますが、82-と書いてあるはずです。胴体とは別の尾翼でしょう。 (2011/07/25現在 尾翼はありません) |
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2012/02/01 改めてこの胴体の本籍を質問します
2006年にこの写真を発表したときに、この機体の本籍(航空自衛隊シリアルナンバー)についていろいろと推理をしましたが、明確な結論は出ませんでした。
今回、MAVERICさんの2011年7月25日撮影のより接近した写真をもとにして推理し直します。皆さんのご意見をお聞かせください。
右舷 明瞭な5があるガンベイドアは別の機体のものと思われます
左舷 数字を塗りつぶしており、そのペンキが一部剥落して元の黒が露出してきています
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2012/02/03 推理 佐伯邦昭
その1 左舷の数字 左舷
僅かに残る黒の塗料から、可能と思われる書体を考察し、描きいれてみますとこのようになりました。
989という数字は02-7989に該当し、同機は、築城基地の第6飛行隊機として1966/12/13に大分県鶴見崎付近の海上で戦闘訓練中に、同隊の72-7729と接触して墜落しています。
02-7989の経歴
1960/12/16 |
c/n256-109 US57-6446 航空自衛隊へ引渡 |
1966/12/13 |
大分県で訓練中に72-7729と接触して
大分県鶴見町に墜落 |
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用途廃止 |
72-7729の経歴
1957/10/08 |
c/n231-49 US55-5076 航空自衛隊へ引渡 |
1966/12/13 |
大分県で訓練中に02-7989と接触して墜落
大分県鶴御崎沖に水没 のち回収 |
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用途廃止 |
新 #989と#729との空中衝突事故に
ついては、#729のパイロットであった服部省吾さんが下記の書物で詳しく回想しており、海中に没し
た#729は後に回収されたと記述しています。(132ページ)
鶴見町(現佐伯市)の雑木林に墜落した#989が回収されたかどうかは触れてないのですが、事故調査のために回収されたと見るのが妥当ですから、用途廃止手続き後にスクラップとして民間に放出され、神戸電子の手に渡った可能性は十分です。ノーズナンバーの989が灰色で塗りつぶされたのは、
事故機であることを隠すためだったのではないでしょうか。
2006年光人社刊表紙 133ページ
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その2 右舷の数字
(1) 下三桁が585というナンバーのF-86Fは存在しないので、ガンパネルの5は考察から外します。
(2) 下二桁は85です。85をもつ機体は次の3機です。
62-7485
1957/10/23 |
ノースアメリカン製 c/n227-72 US55-3887 航空自衛隊へ
供与 第2航空団 |
1964/05/22 |
第2航空団て用途廃止 |
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アメリカへ返還、チュニジアへ供与 (下郷資料による) |
92-7885
1959/03/16 |
三菱製 c/n256-5 US57-6342 航空自衛隊へ引渡 |
1973〜1979 |
木更津に格納 |
1982/03/30 |
第6飛行隊 総隊飛行隊を経て用途廃止 |
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航空自衛隊百里基地に展示 |
02-7985
1960/11/21 |
三菱製 c/n231-49 US57-6442 航空自衛隊へ引渡 第1航空団 |
1981/04/30 |
第6飛行隊で用途廃止 アメリカでQF-86F (下郷資料による) |
1983/12/01 |
撃墜 (下郷資料による) |
3機は、チュニジア空軍、百里基地展示、アメリカのドローン機ということで、いずれも加古川の機体には該当しません。85を記しているパネルは、これらが移動するときに、何らかの理由で取り外され、保存又は廃棄部品として放置してあったものを加古川機に取り付けたのではないかと推定します。85のパネルとそのすぐ上のパネルの汚れ具合も違います。
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その3 左舷キャノピーの数字
キャノピーの72-7749
72-7749の経歴
1957/10/23 |
c/n231-49 US55-5096 航空自衛隊へ引渡 第1航空団 |
1966 |
木更津に格納 |
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第6飛行隊→第1術科学校教材機 |
1980/06/16 |
用途廃止 浜松基地に保管(展示?) |
1993/06 |
袖浦公園に展示 A4510-1 |
本体が磐田市竜洋町袖浦公園に展示されているので、それが72-7749として正しいものである限りは、キャノピーだけを加古川機に取り付けたものです。
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結 論 02-7989である
航空自衛隊のF-86Fは、殆んど日常茶飯事的に部品交換が行われており、ましてや払下げ及び払下げ後においては、不足部品を補う形でパネルやキャノピーが寄せ集められたであろうことは容易に推察できます。数種の異なった文字が見られるこの胴体も、その部類であることは間違いないでしょう。
もとより、以上三点の検証は状況証拠の域を出ませんが、一応、その3の推定から、この胴体の本籍が02-7989であるとした次第です。
なお、JAPANESE MILITALY AIRCRAFT
SERIALS
07/08が92-7882を神戸電子展示としていますが、上記手法で調べると末尾の2が当てはまりませんので、対象から外しました。
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