戦後就航した唯一の国産旅客機で、航空自衛隊では輸送機として活躍した「YS11」の「152号機」が29日、美保基地(鳥取県境港市)−小牧基地(愛知県小牧市)間のフライトを終え、引退した。民間や海上自衛隊、海上保安庁のYS11は既に退役。空自が空港の点検飛行用などに残す8機を除き、名機が空から姿を消した。
152号機は午後3時10分、愛知県営名古屋空港に着陸。隣接する小牧基地エプロンに進んで消防車の放水を受け、エンジンを止めた。搭乗していた大村秀章知事や尾崎義典・基地司令、クルー7人らがタラップを降り、待ち構えていた隊員ら約350人の出迎えを受けた。
基地によると、空自が導入したYS11は13機。9機が残っているが、8機は点検飛行用で、152号機だけが輸送機として基地間を飛んでいた。飛行時間は52年間で2万3872時間。同機は11月、県営名古屋空港の隣に開業予定の「あいち航空ミュージアム」に展示される。YS11は1962〜73年に182機が製造された。【花井武人】