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航空歴史館 技術ノート

掲載23/06/25
更新

 


F-86D AVR STRIKE CAMERA & T-33A DELMAR TARGET

文、写真 吉永 秀典 


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F-86D AVR STRIKE CAMERA

& T-33A DELMAR TARGET

吉永 秀典
  

1, F-86D AVR Strike Camera

 F-86Dに装備する射撃確認用カメラ(以下:AVR-Camera)はF-86Fの「Gun-Camera」と同じように射撃状況を記録するシステムであるが、本機種では両主翼下面の日の丸外側のBracket(保持用マウント)へ必要に応じて装着される。それらの一部を紹介します。


 1962.3.1. F-86D-36 04-8161 旧101sQ所属機で移動訓練の中継か築城基地にて。主翼下面の小さな黒い影が「AVR-Camera」で案外見逃しがち。 前胴下面の「Rocket Pack」を下げている。後方に第16飛教団・列線のT-33Aがみえる。

 
1961.5.15. F-86D-50 04-8189 101sQ 主翼下面の日の丸に接した「AVR-Camera」


 1965.9.30. F-86D 小牧基地にて,最終進入でゴーアラウンド。パワーを入れてスピードブレーキとウィング・スラットを閉じつつ上昇するセイバー・ドッグ。脚とフラップはこれから上げる。両翼下に「Type N-9」 AVR-Camera(16mmフィルム・50ft)が付いている。


 1961.5.15. F-86D-50 04-8189 101sQ 左翼下のブラケットに装着した「Type N-9」 AVR-Cameraのスイッチなど剝き出しで電源用コードなどもぶらぶらだ。よく見るとカメラ用Bracketの取り付けパネル(エルロン作動筒の点検口)は厚板に取り替えてあるようだ。


 1963.8.30. F-86D-26 84-8120 105sQ 浜松基地。 AVR-CameraはType N-9にスマートなカバーを付けられたようなものもあり、新型かも知れないが余分な コードなどもスッキリ収まり全天候に対応できるだろう。


 1965.9.30. F-86D-36 04-8164 102sQ 小牧基地にて。AVR-Cameraは取り外されておりBracketが残されている。このブラケットの付く機体側の点検パネル(エルロン作動筒の点検口)が弱いため厚い板に交換されているようで色が異なる機体もある。
機番号の下に「収納式ステップ」が下りているのはロック機構の摩耗や整備不良で時々見られるが、RF-86Fにも同様の不具合があり共通の機構に問題があるようだ。これはパイロット/整備員などの足で「キック・ステップ」を踏むとアップ・ロックが解除されてステップが出る機構だが、“人動蹴込み”なので人が踏まなくても出るのは“自動”とは言わないだろう。

2, F-86Dへの DELMAR TARGET 支援

 F-86Dの空対空ロケット射撃訓練にはT-33AによりDELMAR TARGETを曳航して支援を行っていた。ターゲットの速度は亜音速Mac. 0.7、高度30,000ft以下、ケーブル長は約5,000ftであった。F-86Dの部隊により数機の装備が見られた。


 (T-33A 81-5355 8sQ) 胴体下のJATOフックにエアー・タービン式ケーブル巻き取り曳航器を取り付け、左翼下パイロンにターゲット保持器が付く。


 Type DX-4 Cable Reel(T-33A 81-5330 8sQ) エアー・タービン式ケーブル巻き取り曳航器は前方に円筒形カバーとシャッター付きのタービン・ケース、後半にリール・ブレーキとケーブル・カッターが付き緊急時に切断できる。パイロンには伸縮式緩衝器のロッドと標的保持器により流線形のDF-4RC標的を保持する。黒い標的の中央に蛍光オレンジのベルトが巻かれ、内部にRadar Reflectorを装備する。爆弾ではない等の表示も。


DF-4の標的保持器には小さなプロペラの回転式表示器が付いておりケーブルの動きが確認出来る。DF-4RC標的は発泡スチロール製で「爆弾ではありません」等の表記に蛍光オレンジの面積が増やされたのもあり視認性を高めている。


New Type DX-4A改良型(T-33A 81-5332 8sQ)ではエアー・タービンを含みスマートなスタイルとなった。標的保持器のプロペラ式表示器はついていないが標的は同じ型のように見える。


 Target Reel 「Type DX-4A」 の細部 新ターゲット・リールの先端の エアー・タービンは4枚の可変ピッチ式に変更され、ケーブルの出ている長さの変化による荷重変動等に対してほぼ同じ速度で巻き取り/繰り出しが出来るようになり、 また停止位置でのフェザーリングにより安定性と安全性を高めることになった。 本体 ケース斜め下の丸いカバー内に案内ローラーとケーブルをリールに均一に巻き取る装 置と、緊急時のケーブル・カッターがあるようだ。 このケーブル・カッターはもし途中で切断されて残ったケーブルを巻き取り出来ないで着陸すると、地上に大変な被害 を及ぼすため残りのケーブルを切り捨てる必要があるからだ。なおエアー・タービン のスピナーの直後にホイップ・アンテナが付いたが、現時点でその目的は分からな い。



編集掲載日 : 2023年06月25日
WEB編集  :  イガテック  

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