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航空歴史館技術ノート掲載10/06/30

 
   
陸自機のナビゲーションライトについて

伊藤憲一

 

 
 陸上自衛隊霞目駐屯地の近くに住んでいる関係で、幼少のころから陸自機は近い存在でした。その幼少のころに見た初期世代の機体、L−19A、LM−1、H−19Cは衝突防止灯を装備していなかったためか、ナビゲーションライトを、今の不動光とはちがい、点滅させていました。その点滅のしかたが、機種により様々でした。記憶をたどって図面でで説明します。 その中で、特記事項を最後に記します。


・ L−19A
 ≪右舷灯(緑)・左舷灯(赤)・尾灯(白)≫が一緒に点滅。

 


・ LM−1
 ≪右舷灯(緑)・左舷灯(赤)≫と≪尾灯(白)、前脚扉灯2灯(白)≫が交互に点滅。
 前脚扉灯は扉が開いているときにのみ点灯。輝度は尾灯より低い。


 

・ H−19C
 ≪右舷灯(緑)・左舷灯(赤)・尾灯(白熱白色、以下、白)≫と≪胴体灯3灯(白)・尾灯(赤)≫
 が交互に点滅。

 

・ UH−1B
 ≪右舷灯(緑)・左舷灯(赤)・尾灯(オレンジ)≫と≪胴体灯3灯(白)≫が交互に点滅。
 H−19Cに似ています。UH−1Bは衝突防止灯がありますが、ナビライトも、よく点滅させていました。

 

・ UH−1H/J
 ≪右舷灯(緑)・左舷灯(赤)・尾灯(白)≫が一緒に点滅。胴体灯3灯は不動光。
 L−19Aに似ています。   
 H/Jになると、飛行中、点滅させていることはまずありません。ただ、地上運転中など点滅させているのを見たことがあります。整備員との通信などで使うのでしょうか。



特記事項
  (1) H−19C尾灯は白と赤の2灯となっていました。
      編隊飛行で前の機体はよくナビライトを不動光にしていましたが、白と赤が点灯するため、
      少し赤みがかった白に見えました、胴体灯の白と区別がつきました。UH−1Bもその流れ
      かわかりませんが、尾灯のレンズは無色透明(つまり白)でなく、オレンジ色(琥珀色?)に
      なっていました。飛行中も胴体灯の白と区別がつきました。

     (添付画像は、霞目に展示されている41569号機の尾灯です。オレンジ色となって
      います。(画像では赤にみえますが、赤ではありません。))
      尚、そのあとのUH−1HやJは白色となっています。
     

      航空法では、尾灯の色は白熱白色と規定されていると思いますが、この当時は 違う規定
     だったのでしょうか。そこが疑問です。

     (同時期の空自機T−33A、F−86F、F−104Jも写真または用途廃止機を見ると、白と赤
     (又はオレンジ)の2灯が付いていたようです。)

  (2) 同時期の陸自機H−13H/KHも衝突防止灯がついていませんでしたが、なぜか点滅させ
     ていませんでした。

  (3) LM−1のプロペラのすぐ下に、正面方向に強い赤い光(不動光)を出す指向幅の狭いライ
    トがありました。衝突防止灯の役目を果たすものだったのでしょう。


   当時と同世代の他の機種はそれぞれ、どうなっていたか知りたいものです。

  それから、UH−1H/Jは今も見ることができますが、胴体灯がやけに明るい感じがします。
  B型もそうだったと思います。それについて私が感じていることを別途、報告します。


参考 当時の民間航空機の安全技術基準

航空法施行規則附属書第一
航空機及び装備品の安全性を確保するための技術上の基準 
              (鳳文書林 1955(昭和30)年3月5日発行 第4版)

第6章 飛行機の装備 
6-6 燈火(抜粋)



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