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グライダーの部屋G-18 掲載11/05/28


思い出のグライダー 霧が峰式鷹型ソアラー J-BADL

 
 大東亜戦争中に呉市の天尚堂で買った艦艇・航空機関連ブロマイドの中の一枚です。説明書きなどは一切ありません。(提供 かつお)



   

古谷眞之助さんから 

 川上裕之著「日本のグライダー」に同じ写真が載っています。また、佐藤博著、木村春夫編「日本グライダー史」には別の写真も載っています。

 名称要目は次のとおりです。   

  「霧が峰式鷹型ソアラー」
   設計製作 鵜飼照彦(日大の卒業設計、製作機で昭和116月完成)
   翼幅10.80m
   全長5.77m
   重量125kg
   
滑空比 16.8 
   滑空速度50km/h

  鵜飼氏は大正3年門司生まれで、昭和1192日〜4日に霧が峰で開催された全日本グライダー大会のソアラー部門で本機に鵜飼照彦自身が乗って優勝しています。

顕彰
 霧ヶ峰には、鵜飼照彦氏を顕彰する石碑があって鵜飼照彦碑保存会(長野県滑空協会)が守っています。

書籍
 藤富康子著 「風になってもーグライダ-の昭和ー 鵜飼照彦と仲間」 1990年あざみ書房刊
(日本航空協会航空図書館蔵)


○ J-BADLについて

 J-BADLという記号を明瞭に書いたグライダーの写真は、滑空関係者の間ではお馴染みであったようですが、そうでないヒコーキマニアはさんざん悩まされました。その原因は、例えばGOLDEN YEARS OF AVIATION CIVIL REGISTER-JAPANのリストです。

Reg Type c/n History Owners Date CoR Fate/Comments

J-BADL

Tachikawa 95-3

 

J-BADL(3)

Nippon Student Air League

     

J-BADL

Kirigamine Taka 1

136

J-BADL(2)

 

00.08.36

 

Mita built

J-BADL

Nieuport 81-E2

9

J-BADL

F.Mihara/Moriyama

00.03.28

1047 1188

Tokorozawa built

 同じ記号の航空機が三つもいて、どうやら真ん中のKirigamine Taka 1が該当することは確かです。また、JAHSが1988年に発行した「Jナンバー登録記号集」は、J-BADLはひとつです。
    航空機形式  キリガミネ型ソアラ― 
     製造番号   (空欄) 
      所有者     ? 
      資料出典   S11.11.03検査報告書 
      備考      セコンダリー又はソアラ― 

となっていて、これまた霧ケ峰式グライダーであることだけが確実で、後は何のことやらよく分かりません。

 それでグライダーのことなら古谷さんにという訳で照会したら、明快な答えを頂いたという次第です。設計制作者の鵜飼照彦という名前も分かりましたので、ネット検索しましたら、霧ケ峰では有名人であり、その顕彰碑も建てられているということです。一挙に悩みが解決しました。

 滑空界に暗いエンジン機マニアを代表し、お詫びの意味を込めてJ-BADL霧が峰式鷹型ソアラーを表紙絵にも採りあげた次第です。

・ 同じ記号の航空機が三つあるということについては、戦前にはよくあることと言われますが、GOLDEN YEARS OF AVIATIONには出典が書いてないので、今一つ信用できないところがあります。これまでも再三主張してきたように、日本人の手によるJレターの研究が不可欠なのですが、もう、誰も手を付けないのですかね。当方が手掛けている初期JAナンバーですら既に分らなくなっているものがありますから、Jレターはますます霞んでいきます。悲しいですね。

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