川崎機械工業、川崎航空機工業を通じてベル47の関係者は、3人乗りで何となく非力な機体を4人乗りにしたいという願望を持ち、早くから検討を重ねていたそうです。ただ、大型化にふさわしいエンジンがないことがネックでしたが、ベル47G3Bが登場したため、その図面を入手して正式に開発を進め、試作1号機の製造番号2000、JA7340は1961年9月から製作を開始、1962年8月2日、初飛行に成功しました。 写真は川崎機械工業へ

　1952年発行 「川崎重工岐阜工場５０年の歩み」は、その特徴を次のように挙げています。
・　キャビン回りの改造で４人乗り（前１、後３）になったこと
・　標準計器のほか計器飛行用の装置も取り付け可能になったこと
・　燃料タンクが163ℓから208ℓに増加したこと
・　ターボ過給器付ライカミングVTO-735により高空性能が大幅に向上したこと
・　テールローターブレードをハニカム構造にして強度と性能が向上したこと
・　ベアリングを潤滑を必要としないタイプにしたこと
・　エンジン架台を改良してオーバーホール間隔が1200時間に延長され、整備信頼性が向上　

　川崎ベル47G3B-KH4の生産は、川重の製造番号が2000〜2210で211機ですが、このうち2機（c/n2147、2207）が部品取りのため完成機として登録されていないので、最終生産数は２０９機となります。その初度引き渡し先を下郷資料から拾うと次表のとおりです。

官需　29機	陸上自衛隊　（H-13KHと呼称）	19
	海上保安庁	6
	警察庁	4
民需　150機	朝日ヘリコプター（三井物産、三井信託銀行経由を含む　以下同じ）	52
	全日空	16
	日本農林ヘリコプター	15
	東北電力	10
	毎日、朝日、中日、読売各新聞社	8
	農林水産航空協会	8
	大阪エアウエイズ	8
	中日本航空	7
	瀬戸内航空	7
	新日本ヘリコプター	6
	阪急航空	6
	西日本空輸	6
	その他	7
輸出　30機	タイ　警察など	28
	韓国、フィリピン	2
合計　209機

　なお 「川崎重工岐阜工場５０年の歩み」は、官需２９機、民需１４１機、輸出３３機の合計203機生産と書いており、官需を除いては、総数も中身も下郷資料と食い違っていますが、その根拠は不明です。

TOP10-2

　川崎ベルＧ3Ｂ-KH4に採用されたライカミングＴＶＯ-435は、それまでのＶＯ-435にターボチャージャを付けて高空性能の向上と出力増加をはかったものです。その過給器を主体に片山秀次さん作成の模型と図で見てみます。

（お断り　：　模型はほぼ現物の縮尺ですが、片山さんの自由な創作部分があること、図は佐伯の理解できる範囲で簡略にしており、間違っていても責任は全て佐伯にあります。）

・　　ターボチャージャー（過給器）は、排気ガス利用のインペラー方式で、ウエストゲートバルブ（中にデンシティコントローラー組み込み）で、外圧に対して必要でないガスをサブ排気管に逃がしています。
・　　メイン排気管とサブ排気管の出口が高い位置にあるのは、800度近くになり地上の物を焼く危険性があるためで、夜には真っ赤に見えたそうです。



水平対向６気筒のエンジン本体　撮影立川駐屯地史料館　佐伯邦昭　
・　ファンはトランスミッションからプーリーで回転します。

陸上自衛隊の川崎ベルＨ-13ＫＨのエンジン回り　撮影成田航空専門学校　ＭＡＶＥＲＩＣ




バッテリーとその架台