イカロス旅客機形式シリーズI日本航空機製造YS-11に、粂喜代治さんがとっておきの秘話として黒覆面の話しを書いています。
操縦席前面窓の上の白ペイントが剥げ落ちて下地のジンクロが現れている機体がドックインしてきたが、凸凹を修理して塗り直す時間的余裕がなく、鳩首協議の最中にブルーで塗ってしまえば目立たなくなるだろうという上司の鶴の一声で塗ったというのです。それを現場では黒覆面と呼んでいたそうです。
@ JA8662 なると の場合
撮影1969/07/27 東京国際空港 下郷松郎 なごや航空クラブ会報9より
東亜国内航空になってからも、この塗装が継続されている写真が黒覆面として上記図書の50ページに載っています。下郷松郎さんが新塗装と書いているのが、何とも漫画チックになってしまいました。天国で苦笑していることでしょう。
A JA8640 あかん の場合
撮影1969/05/15 東京国際空港 戸田保紀
B JA8665 あわじ の場合
ノ
ーマル塗装 撮影1968頃 東京国際空港 PAPPY
↓
撮影1970/04/06 東京国際空港 PAPPY
C JA8680 さど の場合
撮影1969/05/15 東京国際空港 戸田保紀
↓
撮影1970 東京国際空港 PAPPY
D JA8764 ばんだい の場合
撮影1971 東京国際空港 geta−o
日替わりメモ 2014/11/14
ヒコーキ雲では5機の黒覆面を収録していますが、機首だけでなく尾翼まで見ていくと、あれれ? JDAのマークが小さいし、ローマ字表記も無いじゃないか? 5機すべてがそうなのです。まさか黒覆面と合わせて塗り替えた訳でもないでしょう。粂喜代治さん、このデザインに切り替える方針だったのでしょうか、教えてくださいな。
↓の写真は、マークとローマ字が方向舵にまたがって大きく画かれており、これがJDAの標準だと思います。粂さんによれば、機首黒覆面はトップから勝手なことをするなと言われて元に戻したそうですが、尾翼の方はどうなったのでしょうか。?
撮影1968頃 東京国際空港 PAPPY
なお、民間のYS-11が全機退役した2006年頃にイカロス出版が、たくさんのダイキャスト模型を限定販売しましたが、その中に黒覆面塗装のJA8759を後期塗装と銘打って出しています。やれやれ、窮余の一策が後期塗装にまで昇格してしまったんです。模型といえども一般に広まりますから、大げさに言えば検証不足の怖さを知らされる一例とも言えるでしょう。
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