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航空歴史館

 

逆スタッガー主翼のビーチクラフト C17E

朝鮮総督府平安北道警察部 106機
逆スタッガー主翼と電動引込脚構造について

文:佐伯邦昭 

 

一枚の絵はがきから AH-1930zb掲載の絵はがき

かつおさんから

 ビーチC17Eと同じ機体の写真がありますので送ります。これは戦時中に入手した他の写真とセットになっていました。裏面には次のような自己考証と思われるものが記されています。

 《 ビーチクラフトC17E 1936年アメリカから輸入後立川飛行機と東京飛行機で製作された。逆食い違いの主翼が珍しい。この機体は国境警備と記されているので満洲で使用されたものか?》

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 登録記号はJ-ACHEです。尾翼の文字は平安北道警察部と読めます。

 つまり、朝鮮総督府時代に平安北道(ピョンアンプクド)に置かれた平安北道警察部に所属して鮮満ロ国境の警備を担当していたものと思われます。5人乗りで航続が1400km、約6時間というデータ上の性能からすれば、警備機にふさわしいと言えます。


逆スタッガー主翼と電動引込脚について 水上機にも

 ビーチクラフトC17Eは、主翼を逆スタッガー(逆食い違い)式として下翼を前に出しているのが大きな特徴ですが、この時代の中型機には珍しく引込脚を採用しています。


              第二次大戦後に使用されていたHB-UIH  JAHS

 引込脚はどのような構造でしょうか。電動式ということですが、脚カバーの形からすれば中央へ折りたたむ方式のように思われます。

 日本では、1934年に日本航空輸送がビーチクラフトから輸入し、これをローカル線機とするために立川飛行機にライセンス生産させました。一般に構造が複雑で、耐久性、安定性、実用性能が期待されたほどでなかったとされております。(日本航空機総集 輸入機篇)

 特に、引込脚の故障が多かったようで、固定脚に改造して使った機体もあるとのことですが、軍用機でも泣かされていた国産電動モーターの当時の信頼性からすれば、そこに大きな原因があったと推察されます。航研機だって人力でロープを巻き上げていたのですから。

 また、たいへん面白いのは、航空官南波辰夫編 昭和14年版日本民間機全輯(1937年工人社刊)によれば、*脚引上ゲノ儘水上機トナシ得 とあります。
 素直に読めば、そのままということになりますが、主翼と胴体下面をべたっと水面につけて、プロペラの3分の1は水面下にあるという、恐ろしいことになります。フロートを付けてという条件を書き忘れたのでしょう。


     日本航空輸送機 1940(昭和15)年海と空社刊 写真日本軍用機史 附新鋭機形態輯より 

日替わりメモ 2015/07/07

〇  オランダのマニアから

 フェイスブックをやっていると、全く知らない人から「友達申請」というのが電子メール経由で来ます。
 
 昨日は、
Dré Peijmenなる人から申請が 入っておりました。その人のフェイスブックを開いてみると、このページをそっくりシェア(注)しています。どうやらビーチクラフトC17Eのマニアらしいですが、オランダ語の中身はさっぱり分りません
 でも、皆さんの投稿のお陰でインターネット航空雑誌ヒコーキ雲が世界に広がっている 好例です。おおいに自慢してくださいな。

(注) シェア = 相手のコラムなどを自分の領域にコピーするというような意味