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図書室68 掲載2013/03/30

それでも私は飛ぶ 翼の記憶1909-1940

 佐伯邦昭


〇 日本航空協会のイベント

 招待券を頂きましたが、広島にいては見に行くこともできませんので、在京の方感想など送って頂けばうれしいです。

 さて、その写真展というのが最近刊行された下記の本に関連するものです。

著者:藤原洋、藤田俊夫
監修:東京文化財研究所
発行:日本航空協会 航空遺産継承基金
発行日:2013年3月31日
価格:4,800円+消費税

 縦横260o、厚さ17o、大判写真が119葉という豪華本でありますが、内容については、昨日書いているように、目が悪くて図書室に取り上げる気になりませんので、協会が自画自賛している下記サイトをご覧ください。
    http://www.aero.or.jp/isan/publish-they_flew_regardless.htm

 付言するならば、こういう企画は日本の航空百年の時に樹てるべきものであって、評価の芳しくない『日本の航空100年 航空・宇宙の歩み』T58参照)なんぞよりも余程時宜に適していたと思わざるをえません。

 ただし、写真集ですから、科学的に史実を追うというよりも、懐古趣味の航空老人たちへの請け狙いが主目的で刊行されたものと理解します。

 それにしては、珍しいと思う写真でも解説が巻末に極小文字で書いてあるという気取った不親切な編集には参りました。致命的な欠陥に近いです。まあ、貴族気取りの航空老人以外の人は、公立図書館にでも買って貰って暇があれば見に行くということですかな。推薦の弁を書いている東昭という東大の名誉教授からしてオントシ86歳でありますからして‥


〇  豪華本 それでも私は飛ぶ

 昨日の辛口紹介で言い忘れていたことがありました。

 著者の藤原洋 さんと藤田俊夫 さんは、数少ないJレター(敗戦前の日本民間航空機登録記号)の研究者です。それ故に黎明期の写真集などを編集できるのですが、『その前にやるべきことがあるのではないですか』と敢えて苦言を呈しておきます。

 それは、Jレターの一覧表の公表です。
 私は2010年の學聯機の事故で取り上げていますが、Jナンバーを調査するのにアメリカ人が作ったサイトを参考にするといった、それは一例にすぎませんが、日本人として実に情けない状態が未だに続いています。

 お二人とも日本航空協会に世話になっているのなら、協会の最重要のテーマとして、日本民間航空機登録記号集を作成公表するように努めて頂きたいと存じます。日本の航空史の基本はそのデータベースがあって初めて成り立ちます。その基本の生成を世界中が待っているのです。

 まだまだ不明が多いからと言い訳を言っているうちにも史資料はどんどん消えていきます。失礼ながらお歳も召します。走れメロス!

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