ひごまるコール:お問い合わせの件について
平成30 年5 月22 日
熊本市立熊本博物館
熊本博物館に展示されていた航空機の経歴等に関するお尋ねに対する回答
この度は標記の件につきまして、お問い合わせ及びご指摘をいただき誠にありがとうございました。以下、調査しました結果等についてご報告いたします。
@ この機体を市立熊本博物館が入手された日付
A どこの誰から入手されたのか入手先について
熊本博物館は、現在地にて昭和53 年(1978)4 月に新築移転いたしましたが、この新館の建設に伴い、理工部門「動力の変遷」の展示区画に航空機展示が必要と考え、当館からの働きかけにより昭和52 年(1977)10 月29 日付けでセスナ150 型機の寄贈が実現したものです。このセスナ機は、当時、東京都内に住所を有する企業(スズキ技研)様よりご寄贈いただきました。
B その時は翼と胴体にJA3507と記入してある状態だったのか、或いは、博物館側で塗装されたのか
C JA3470をJA3507として一般公開することに矛盾を感じられなかったのか
現時点では当時の経緯が分からないため、新築オープン時の理工担当者までさかのぼり、当時の状況について聞き取りを行いました。
寄贈元の企業様には、平成24 年度に寄贈に関わる書類等につきまして一度照会をかけた経緯がありますが、当該セスナ機に関連する資料類は無いとのご返答を得ています。
以下は、新館オープン時に在籍していた理工担当者から得られた情報です。
寄贈されたセスナ機は破損や塗装剝れが著しく、展示のためには再塗装が不可欠。機体の番号等を読み取ることは可能だったと思うが、実際の機体番号・記号については40 年も前のことで記憶に残っていないとのことでした。
このときの当該展示コーナーでは、人力から自然の力(水力や風力)、科学の力による動力の変遷を経て、陸(地下)・海(海底)・空(宇宙)へと活動の場を広げていっ
た人類の英知のすばらしさを来館者に伝えることを目的に、展示物の一つとして『飛
行するセスナ機の姿』を披露し、その姿から更に飛躍する未来の科学技術に対する「夢とロマン」を抱いていただくイメージで展示構成が検討されました。
その際、検討された展示イメージのほうを優先したため、再塗装が必要だったセスナ機の塗装に際しては、必ずしも元の機体番号・記号でなくてもよいとの判断があったようです。このため、特別に意図したわけではなく、結果として「JA3507」という号機番号を付したということです。また、この番号・記号が他のセスナ機に付されているとの思いにも当時は至らなかったとのことでした。
平成24年5月まで当館内に展示しておりましたセスナ機は、当時の状況からもご指摘のようにJA3507機ではございませんでした。心よりお詫び申し上げます。
いずれにいたしましても、上記のような経緯のなかで、セスナ機自体のアイデンテ
ィティー(固有情報)である重要な機体番号・記号に対する認識が足りず、誤った情
報を撤去する(平成24 年5 月)まで本館展示において発信し、多くの皆さまにご迷惑
をおかけしてしまうこととなりました。誠に申し訳ございませんでした。
D リニューアルのために当該セスナ機を譲渡した年月日
E 引き渡し先について
平成25年度からの本館の「大規模改修工事(リニューアル工事)の準備」のため、
展示されていた理工関連資料(展示物)は平成24年度中(数点は平成25 年度前半)に全て撤去・廃棄しています。その内、多くの資料は寄贈元に返却したり教育機関に譲渡したりいたしましたが、一部は展示資料のメンテナンスを委託していた企業様や教育機関を通じて、撤去・運搬費用までご負担いただける方に譲渡を行いました。
今回お尋ねのセスナ機につきましては、平成24 年6 月1 日付けで、当館の屋外展示物(航空機等)のメンテナンスを受託されていた会社にお勤めの方(当時、既にご退職)に撤去費用等は全て個人負担を条件に無償譲渡させていただいたものです。譲渡を受けられた方に照会をしましたところ、譲渡を受けた後、千葉県内の道の駅様に売却したとのことでございました。
本館から当該セスナ機の譲渡を受けられた方におかれてましても、機体番号・記号の誤りについては当然ご存知ではありませんでした。その方の氏名等は個人情報に当たりますので、明記についてはご容赦をお願いしたいと存じます。
以上が、今回のご指摘を基に調査いたしました内容及び、これまでの経緯に係る報告でございます。よろしくご理解のほどお願いいたします。
現在、熊本博物館は今年12 月のリニューアルオープンに向け、来館者の皆さまに親しまれる、何度も訪れたくなる魅力的な博物館を目指し、職員一丸となって準備を進めているところです。
当然のことではございますが、今回ご指摘をいただきましたようなことが二度と起
こらないよう、展示物の価値や魅力をお伝えするための展示内容や表記につきましては「事実に基づいた正確で分かりやすい表現」を第一義に、多くの時間を費やして学芸班職員同士が意見を交わし、推敲を重ねております。また、対象によりましては有識者の助言や監修を経たうえで自然の原理や歴史を正しく伝えることができるよう努めてまいります。
改めまして今回のご指摘を真摯に受けとめ、最善の注意を持って適切な展示等を行っていく所存ですので、どうか、今後ともご支援、ご理解のほどよろしくお願い申し
上げます。