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航空歴史館 技術ノート

掲載23/01/22
追加23/01/31

 


中華民国(台湾)から購入したC-46について

吉永 秀典(写真、文) / イガテック(文、資料) 

 

 吉永 秀典さんから 輸入されたC-46Aの機番がまだ手書きの珍しい写真を投稿頂きました。 当機は所沢博物館に展示されている機体ですが、輸入は中華民国(台湾)からとなります。
 中華民国と表記しているのは 1971年以前に行われたことであり、1946年4月15日にアメリカ空軍からSurplus(余剰機体)を中華民国が購入しているためです。
 今回の写真撮影は輸入された日付より時間がたっていますが、時間をかけて分けて日本に運ばれた可能性があるのではとイガテックは考えています。
 吉永さんからのコメントを添えて掲載します。


 「今から61年ほど前の1961年10月1日、当時の築城基地から研修の為定期便で美保基地に立ち寄った時偶然見つけた台湾空軍から購入直後のC-46Aの1機で、まだ機首とラダーに同軍の塗装とsn43-47222/6134とあるも空自の機番号は手書きで「91-1143」 と超レアなショットです。
 初見はドックで受け入れ検査の最終段階で整備を終えエン ジン試運転と地上滑走などのテストを行う途中のようでしたが、その後のK-ファン誌 (世界の傑作機)や某マニア誌などでも取り上げていないので未公表といえるもの。
 あとは諸氏ご存知のようにC-46D型仕様に改修を受けて活躍し、最終的にはEC-46Dと して任務を終えたようです。」 吉永 秀典

 撮影 1961/10/01 美保基地 吉永 秀典


 撮影 1961/10/01 美保基地 吉永 秀典


 撮影 1961/10/01 美保基地 吉永 秀典


 撮影 1961/10/01 美保基地 吉永 秀典


 手書きの機体番号の運用ですが 

 「先ず、新造機/IRAN後の受領機/他の部隊からの管理替えなどで新機体を受領後最初に行う「受け入れ検査」で装備品の確認と整備作業を行い、不具合がないか早く判定する必要があるので機体の塗装やマーキングなどは後回しになります。
 しかしその整備作業の途中や最終段階でエンジン試運転や地上滑走などで管制塔/管制官との交信には「機体番号」と「ラジオ・コールサイン」を確認する“番号表記”は必須となります。
 そこで本機は取り敢えずタワーから確認できる程度の機体番号を手書きされたのであろうと推察できます。
 しかしこのまま試験飛行などを行う事は無いので、いずれにしても限られたチャンスを記録できた幸運を良しとしましょう。」 吉永 秀典

との説明を頂きました。 
 管制や管理を考えたら番号表示は必修ですね。
 他の自衛隊塗装と並んだ写真も投稿頂きました。

 撮影 1961/10/01 美保基地 吉永 秀典



 本写真を掲載に当たり色々調べましたが、各資料に少しずつ差異があり、時間も経過していることから検証は難しいですね。
 中華民国からの輸入ということでカーチスを中心に掲載している The Curtiss Command Pageで調べて照合しました。
 この中で、1機 91-1147号機が台湾側のリストに見当たりませんでした。
 この91-1147号機は Reconstruction Finance Corporation から航空自衛隊が購入したようです。 91-1148号機も同様の会社登録になっています。
 当時 予算の都合などでC-46Dはリースする形をとっていたのかもしれません。

  資料元 THE CURTISS COMMAND PAGE  C-46 リンク
       PLANE LOGGER  91-1147 リンク

 下記に中華民国から輸入された機体の一覧を記します。

JASDF No. c/n US Army Model US Army No. 用途廃止時期 展示 Memo
91-1137 30246 C-46A-45-CU 42-96584 1963/01/21    
91-1138 30553 C-46A-50-CU 42-101098 1978/04/19  浜松基地   
91-1139 30570 C-46A-5-CU 42-101115 1977/05/19 美保基地   
91-1140 30690 C-46A-40-CU 42-101235 1976/05/10   ECM 型に改造
91-1141 27053 C-46A-60-CK 43-107366 1976/06/08 岐阜基地   
91-1142 280 C-46A-60-CK 43-47209 1974/03/25    
91-1143 293 C-46A-60-CK 43-47222 1978/04/19 所沢航空記念公園 ECM 型に改造
91-1144 296 C-46A-60-CK 43-47225 1963/02/21 長野県麻績村聖博物館、機首のみ   
91-1145 399 C-46A-60-CK 43-47328 1978/04/19 入間基地  ECM 型に改造
91-1146 401 C-46A-65-CK 43-47330 1976/08/25    
91-1147 32817 C-46D-5-CU 44-77421 1975/01/24    
91-1148 32824 C-46D-5-CU 44-77428 1974/01/08    



その他調査資料

   下郷松郎資料

   PETER M BOWERS著  CURTISS AIRCRAFT 1907-1947  他

     


 2023/01/25 1138

 佐伯さんより 「浜松に展示されている機体は関係ないのですか?との指摘がありました。
 記載が漏れていましたのでリストに 91-1138号機が浜松基地に展示されていることを追記しました。 浜松エアパーク展示機体の経歴をアメリカ陸軍航空隊(US Army Air Force)から掲載しました。
 また、当機を濱野さんが1960年頃に撮影しており塗色が施された機体もあったことがこれから判ります。
 自衛隊の機体番号も書き方が非常に似ています。

撮影1960年頃 大阪国際空港 高田天敵 提供 濱野博司 


 これからも当時の他の写真が出てきたら、当時の導入時の状態が見えてきますね。
 
 2023/01/31
 高田天敵さんからコメントを頂きました。

 「 懐かしい新明和の写真を目にしましたので一筆啓上します。
 C-46のグリーン迷彩機の写真は私が撮ったもので濱野さん回りで投稿されました。
 当時はつや消しグリーンに青天白日マ−クのC-46を再三見ておりました。 台湾から来たことは分りましたが、こんな旧式機に貴重なフイルムを使うわけに行かないとカメラを向けませんでした。 たまたまHSS-1オーバーホール後のテスト飛行に巡り会い写真を撮ったときの遠景に写っていたものです。 青天白日でないのが残念ですが、当時の痕跡が残ったのは幸運でした。
  当時の大阪では新明和に来る米軍や民間のレシプロ機しか見ることが出来ず、 関東のマニアをうらやましく思っておりました。 たまに来るF9F-8Tが唯一のジェット機で自転車をかっ飛ばしていったものです。
 そんなわけで遠くの旧式機は目じゃなかったのは若気で不明の至りでした。 覆水盆に返らずを地で行ったと思ってます。」 高田天敵

 写真撮影の背景を聞くと その当時の様子が見えてきますね。
 当時のトリミング前の写真を頂きましたので2枚紹介します。

 撮影1960年頃 大阪国際空港 高田天敵 


 撮影1960年頃 大阪国際空港 高田天敵