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航空歴史館技術ノート

  

 

T-33Aの コンパスチェックカードについて

 

@ 表   A 表
 
@の裏   Aの裏
 

設置場所の例 (参考)

 

Blue1さんから

 昭和四十年代に入手のT-33Aのコックピットにあったコンパス用のチェックカードです。入手経路は色々ありまして詳しくは申せませんが、八戸基地で用途廃止になった機体の機内にあったもののようです。
 さて、 @には653」、Aには「657」と記入されています。
 これはシリアルナンバーでしょうか。記載の日付が何れも「1965/06/10」なので、前席と後席のカードで、どちらかの記載が間違っているとも考えられますが、如何でしょうか。

全機写真集 では、両機の経歴は次のようになっています。(写真は無し)
 51-5653  1965/10/11      
用途廃止
 51-5657  1967/11/28      
用途廃止

tamaさんから
 

  スタンバイコンパスとジャイロシンコンパスのチェックカードです。

 前席の右側にキャノピーハンドルが有りますが、その上部にスタンバイコンパス(Stand By Compass、予備のための磁気コンパス)が有ります。

 @のStand-By F/Cカードは前席のスタンバイコンパスの校正時(コンパススイング時の誤差の確認または修正後)の記載だと思われます。 誤差は±10°以下と定められています。

 Aのカードは、GYROの記載が有るのでジャイロシンコンパスの校正時のカードだと思われます。
 ジャイロシンコンパスとは、フラックスバルブから信号を貰い方位を示す計器です。詳しくはWikiで調べて下さい、フラックスバルブで引けると思います。
 このカードは手書き部分の誤差が無いので、全方位で信用できる値であるとの証明です。

 両カードに記載のイニシャル(点検者の記名)のサインが違うので、別機体のカードだと思われます。

653号機をH.K さんがS40.6.10に前席のスタンバイコンパスを点検しカードを作成。
657号機をM.M さんがS40.6.10に後席のジャイロシンコンパスを点検しカードを作成。
 
 このように私は判断します。


 磁気コンパスの数値の違いは、例えば135の横に140、270の横に272、315の横に320と手書きで記載されてますが、この数字の違いはコンパススイングチェック時に実際は135度の方向であるが磁気コンパスでの表示は140度方向を示す、つまり135度の方向で+5度の誤差が有り140度方向を示している事を証明しています。

 航法時各計器が正常に作動すれば良いのですが電源の喪失等の場合は、方位を確認するには磁気コンパスしか無くなります。その場合はコンパスチェックカードを確認して航法を進めます。誤差を確認しなければとんでもない方向に進んでしまいます。

 コンパススイングとは実際に機体電源(T-2の場合は電源車を使用して)を入れた状態で各方位を指向してコンパスが示す方位を確認する作業です。機体の電源を入れた状態で計測する理由は、機体の各部分から出ている磁気を再現して確認するためです。実際の作業では主脚の片方を真鍮製(非磁性体のため)のターンテーブルに載せ、その場で360度各方位の確認をします。

 先輩からの話ですが磁気コンパスはエチルアルコールの中に浮遊してるのですが(カーショップ等で販売されている液体に浮遊してるコンパスと同様な物と思って下さい。精度は違いますが?)中のエチルアルコールを飲んだ方もいらっしゃったとか。


 両機の用廃時期及び八戸近郊での入手だとすれば、当時は八戸に第81航空隊第3飛行隊が所属して居たので所属機の物だと推察します。八戸に機体が移動した際に八戸基地の地磁気の影響でコンパスに誤差が生じていたのではないでしょうか?コンパスはその土地の地磁気の影響を受けます、コンパスチェックが同日に成されたのはコンパスの誤差が無視できない状態で、至急修正が必要であったと推察します。
 
 コ パスチェック自体は計測校正に時間がかかり、一日あたり多くても四機程度しか出来ないと思われます(校正するための場所が限られるため)。

 またコンパスチェックカードは常に最新の計測時のカードを常備するので、コンパスチェック後に古いカードを入手されたのではないかと思います。

 

蛍光