掲載06/04/01
追加13/06/07
間違いだらけの説明板を正す対症療法
目 次
[1] 最初の問題提起と解決策の提案
1 間違いだらけの説明板が多いわけ
2 間違いだらけの説明板を正すために[2] 新田原と美保のYS-11の例 [3] 陸上自衛隊信太山駐屯地の例 [4] 陸上自衛隊千僧駐屯地の例 更新14/05/19 [5] 良い方の例 航空自衛隊府中基地 [6] 航空自衛隊千歳基地の例 [7] 陸上自衛隊北宇都宮駐屯地の例 [8] 航空自衛隊奈良基地幹部候補生学校の例 [9] 同じ敷地内での対比 [10] 航空自衛隊那覇基地の例 [11] どの世代を対象とした説明か 所沢航空発祥記念館 [12] 海上自衛隊ビーチクラフトJRB-4の表示 掲載14/02/04 別記 航空自衛隊小松基地のF-86F説明板の疑問 別記 陸上自衛隊大津駐屯地のF-86Dの無責任な説明板
[1 2] 海上自衛隊ビーチクラフトJRB-4の表示 12 鹿屋と下総の説明板
海上自衛隊鹿屋航空基地史料館 海上自衛隊下総航空基地
(ア) まず「SNB」なる表示が間違いであることは、航空歴史館技術ノートに詳しく論じてあります。正しくは「JRB-4」とすべきです。
下総の「SNB型」は、当時海上自衛隊で呼びならわされていた名前を表示したのであろうと想像されます。
鹿屋の「SNB-4」は、根拠不明で「JRB-4」の「4」を「SNB」にくっつけたに過ぎないようです。
(イ) 鹿屋のデタラメ表示
「高 約8.90(m)」 → 「高 約2.8(m)」
(製造会社名)米国ダグラス社航空機社 → 米国ビーチクラフト航空機株式会社
[付] 自衛隊航空機ALL CATALOG 文林堂イラストレイテッド108121ページのタイトル
解説の中に「海自名称はSNB-5」と書いてありますが、その理由に触れていないので、ヒコーキ雲から航空ファン編集部に質問を送りました。
(ア) 質問
ヒコーキ雲ではイラストレイテッド108を尊重して-5で統一していますので、-5説の根拠を教えて貰うとありがたいです。
(イ) 航空ファンからの回答 (2014/02/03受信)
お尋ねのイラストレイテッドNo.108内のSNBの型式についてですが、明記の通り機体解説を担当された松崎豊一氏、機体番号を担当された佐藤正孝氏の調査・考証によるものという以外、編集部としてはお答えのしようがありません。宜しくお願いいたします。
佐伯から : 松崎豊一氏と佐藤正孝氏がこれを見ていたらお答えを願いたいです。 因みに、佐藤正孝氏はJAPANESE MILITARY AIRCRAFT SERIALS 2007/2008では「SNB-4」と表記しており、この本とは違う見方をしています。
なお、同書の諸元中、「全幅15.1m」とありますが、その他の資料では上の説明板と同じ「14.5m」以外には見当たりませんので、わずか60pほどの違いではありますが、併せてその根拠を知りたいです。
[11] どの世代を対象とした説明か 所沢航空発祥記念館 11
所沢航空発祥記念館 本館展示の説明板 撮影2010/03/09 A-3304より
説明板は、諸元数値はよく調査されていますが、概要説明にどの年代の人を対象にしているのか中途半端な印象を受けるなど不可解な点があります。例えば、川崎KAL-2の説明
連絡、引込、審査にルビが振ってありますので、その漢字が読めない世代を相手にしているらしいですが、それなら岐阜、脚、前輪などにもルビが必要なように思うし、全体文意から判断すると「連絡」の漢字がが読めない世代ではなく、高校生か少なくとも大学生以上の大人を対象としているように感じられます。 そのあたりの意図が不可解です。
また、余分かもしれませんが川崎航空機の岐阜工場で「組み立てられた」戦後初の本格的国産機”KAL-I”という表現は、各務原の人にはカチンと来るのではないですかね。戦後初の本格的国産機というのなら、土井技師を中心に心血を注いで設計から製造まで行った歴史が薄れてしまわないように「開発された」等の表現がより適切だと思うのです。
KAL-1をKAL-I、KAL-2をKAL-IIとするのもちょっと異様ですが、川重や自衛隊がそう表記していたのなら仕方がありません。いずれにしても、博物館の説明板ですから、歴史科学は厳密に、表記は正確に、分かり易くをモットーにして貰いたいものです。
新 ルビが消された 2013/06/07
撮影2013/05/28
連絡、引込、審査に振ってあったルビが消されています。当然の処置です。しかし、「組み立てられた」の表現は変わっていないし、「川崎KAL-II」の表示も相変わらず奇妙です。川崎重工業航空宇宙カンパニーのホームページでも「KAL−1連絡機初飛行」というように算用数字の1を使っているのですから、なぜIIにこだわるのか理解できません。
[10] 航空自衛隊那覇基地の例 10 2009年にF-4EJ改の前に、立派な台座と金属パネルで説明板が設けられました。
しかし、左の第302飛行隊の説明板が美しく丁寧に作成されているのに対して、右のF-4EJ改戦闘機の説明板は、なぜ細かいところまで神経を行き届かせなかったのかと疑問を感じる日本語になっています。
F-4EJ改戦闘機の説明板
― 別名:ファントム(幽霊)で間違いではないにしても、正しくは愛称:ファントムUであり、(幽霊)は、日本人として(妖怪)と訳す方が適切なのですが、敢て訳す必要もなかったように思います。
―です体(敬体)と―である体(常体)が混用されている理由がわかりません。下のF-104J戦闘機の説明板は統一されています。
F-4の説明板に合わせて、他の展示機のものも同じ構造で作り替えられました。
F-104J戦闘機の説明板
―です体(敬体)で統一されています。
― 別名:栄光は、できれば愛称:栄光の方がいいし、外国ではStarfigterで通ります。
[9] 同じ敷地内での対比 9 陸上自衛隊東立川駐屯地と航空自衛隊立川分屯基地の説明板
陸上自衛隊東立川駐屯地には、航空自衛隊立川分屯基地ほか防衛研究本部や空自中央音楽隊などが同居していて、正門にずらっと並ぶ表札には驚かされます。C-1が入れるような大きな建物があり、MAVERICさんが案内の広報隊員に尋ねてもよく分からないとの返事だったそうですが、航空医学実験隊が耐Gなどを研究している施設などではないかと考えられます。
例によって、ヒコーキそのものよりも関係する人間の態様に興味をもつ佐伯の感想ですが、OH-6Dの説明板とF-104J、T-33A説明板を比較してみて、陸自は懇切丁寧、機内を見学したい者は広報班へ連絡せよと内線番号まで書いてありますが、空自の方はいとも簡単な記述で終わり‥ 同じ敷地内にあっても組織が違えば考え方も違う‥ 当り前とはいいながら、航空の専門である航空自衛隊の人間が誰ひとりこの矛盾に気が付かない、たかが展示機、たかが説明板にすぎないと考えているおごりがあるのか‥
陸自に対して恥ずかしくないのかなあ‥
[8] 航空自衛隊奈良基地幹部候補生学校の例
8旧説明板 KUPANBA 新説明板 撮影2008/05/24 KUPANBA
日替わりメモ2008/05/30から転記 ○ 説明板 重箱の隅つつきではありますが‥
航空自衛隊幹部候補生学校(奈良基地)の説明板が一新されました。要目寸法の欄と文章説明の欄を分け、解説も各機種の航空自衛隊での歴史を簡潔的確に述べています。候補生たちにその機体の時代背景を併せて概略理解させようという工夫がなされています。
デザインもすっきりしました。と言えば良いことずくめのようですが、ここまで神経を使ったのに、何故こんな手抜きが?と首をかしげたくなる「重箱の隅」が見えるのが情けないです。暇のある方は表記や数値などの変化をチェックしてみてください。
とりあえず、佐伯流重箱の隅つつきをいくつかあげておきます。
・ 寸法を下2桁まで書いたもの、下2桁を切り捨てたもの、下2桁を四捨五入したものがあります。
たった7枚の説明板で、何故統一できないのでしょうか?・ F-86FとF-86Dはジェット戦闘機、F-104Jは要撃戦闘機という表記です。
86Dも要撃戦闘機であり、104Jもジェット戦闘機ですが、この幼稚な分類の意図が理解できません。・ エンジン・推力の欄で、
F-86D ターボジェット(アフターバーナー付) 3,400kg
F-104J ターボジェット 7,170kg
とありますが、マルヨンはアフターバーナー付エンジンではなかった?
いえいえ、7,170kgはアフターバーナー使用時の最大推力なのですよ。まあ、重箱の隅ですから、見る人の大勢には影響しないですけれども、蟻の一穴が堤防の決壊を招くように、基地の業務には不祥事発生の巣ができつつあるのかもしれません。
原案を作った隊員やそれを決済した幹部が、全体を通してチェックし正確を期すという程度の資質がないとはいえません。将来の幹部自衛官や幕僚を育てる学校ですから内務班にも優秀な人材を揃えているでしょう。この程度のミスや不揃いが分からぬ訳がありません。
しかし、決裁から発注と検収(納入時の検査)時においても見て見ぬふりをしていたとすれば‥‥ ああ、これ以上は言いますまい。
[7] 陸上自衛隊 北宇都宮駐屯地の例 7 あまりでかい看板にするのも格好わるいですから、せいぜい1メートル四方くらいの中に如何に要領よく文字を入れるかというセンスの問題です。 幼稚な書き方だと笑われないように。
それぞれの問題点は、写真の横にメモしておきました。その中で、一連の流れというか、表示の統一性の中に、なぜこのようにと首をかしげたくなるものが見られます。
UH-1B 製作会社 (米)ベル 富士重工 T-34 製作会社 ビーチクラフト社(米) 富士重工 TH-55J 製作会社 日本飛行機 OH-6J 製作会社 ( 米)ヒューズ 川崎重工 F-86F 製作会社 ノースアメリカン社(米) 三菱重工 TH-55Jの日本飛行機というのは論外として、(米)が前へ来たり後ろへ来たり、社があったりなかったり、この程度のバランスがなぜとれないのでしょうか。悪く言えば幼稚です。陸上自衛隊航空の技術者を育てる教育機関であるだけに、一分の隙もないように努力した跡を国民に見せてほしいものです。重箱の隅をつつかれないように!
◎ ビーチクラフトT-34A 60506
ついでのことならT-34Aと正式名称にしてほしい。
◎ 富士ベルUH-1B 41571
HU-1Bで間違いではないが、正式には平成4年以降UH-1Bに変更されている。また、平成6年までに全機退役しているけど。
これにも(ひよどり)という名前があったよな。◎ ヒューズTH-55J 61335
平成7年に全機退役ですよ
日飛TH-55Jというのか?
製作会社はOH-6Jと同じように(米)ヒューズでは?◎ 川崎ヒューズOH-6J 31115
自重の公称は538kgでは?
◎ ノースアメリカンF-86F-40 92-7883
最大速度の公称は、マッハ0.95では?
OH-6Jは(米)ヒューズとなっているが、86Fの書き方(米)三菱重工で三菱が米社みたいだ。
ノースアメリカンだけに「社」をつける特別の意味があるのかな?
[6] 航空自衛隊千歳基地航空祭の例 6
@ 陸自と空自で異なる説明 MAVERIC
OH-6Dの前に2枚の説明板が並べられました。 左が陸自・右が空自が準備したそうです。 陸自隊員に2つの表の諸元・性能が違うと聞いたところ、「右は航空自衛隊が作ったもんで‥」と言っていました。
拡 大
佐伯から : 製造会社名以下、ものすごい違いというほか言葉がありません。特に空自作成の方の乗員5名には唖然とします。作成した責任者とふたつを観衆の前に並べて展示させた責任者に情状酌量の余地なしではありませんか。陸自隊員は勇気をもって千歳基地側に撤去または修整を求めるべきでした。
A ビーチクラフトの製造会社名 OKUBO
今年展示されたビーチクラフト系のLC-90、LR-2、B350(海保)の案内板に、昨年まではレイセオン・ビーチクラフトと書かれていましたが、今年は、ホーカー・ビーチクラフトと親会社が名乗りをあげています。製造時には何の係わりもないし、ビーチクラフトのブランド名は継続しているはずです。ホーカーを書く必要はないと思いますが。
佐伯から関連して : F-104Jの説明板の製造会社名ロッキード・マーチンも如何なものでしょうか。その会社は確かに15年くらい前に出来ていますが、マルヨン時代のロッキードにはマーチンは関係ないです。新しい飛行機と同格に並べているのだからというパロディのつもりですか?
マーチンといえばB-26やP5Mなどを想起する世代としては、どうしてもケチを付けたくなります。隼の説明に製造会社富士重工業と書くようなもんではないかと!来年の千歳航空祭には、担当幹部が隅々まで気を配って展示の準備を行われますよう要望いたします。
[5] 良い方の例 府中基地 5
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[4] 陸上自衛隊 千僧駐屯地の例 2010/05/23
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2009/05/20
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[3] 陸上自衛隊信太山駐屯地の例 3
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[2] 新田原航空祭と美保航空祭のYS-11の例 2
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[1] 最初の問題提起と解決策の提案 2006/04/01 1
1 間違いだらけの説明板が多いわけ
2 間違いだらけの説明板を正すために
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