かかみがはら航空宇宙科学博物館 こやまの支援ボランティア活動報告から許可を得て転記
収蔵庫で行われている特別展示ですが、2017年3月29日〜31日のメンテナンス工事休館中に、展示物の追加が行われました。
まずは無地無塗装となっている「飛燕」の胴体に、プロジェクション・マッピングによる日の丸マーク&米空軍マークの投影されるようになりました。2分おきに「日の丸」と「米空軍マーク」が切り替わるようになっています。
胴体の「日の丸」は・・・
主翼の「日の丸」は・・・
「米空軍マーク」の場合は・・・
個人的に気になった点で、本来無地無塗装の「飛燕」の「日の丸」に白縁は付かないのですが、収蔵庫内の照明が明るいためか、プロジェクションの色が薄くなって日の丸の赤色の境界がハッキリしなくなってしまうそうで、やむなく白縁が追加されたとのこと。
うーん、痛し痒しといった感じです。
当然のことながら、来館者から『「飛燕」になんで米軍機のマークなの!?』という質問が多かったですが、
これは、展示の二型試作17号機は終戦後に米軍に接収され、横田基地の展示機になっていたのですが、その一時期に米軍のマークが描かれていたことがあったためとのこと。
(本機の戦後の経歴は、飛燕の戦後史その1詳しくまとめられています)
プロジェクション・マッピングなら、マーキングは自由自在に変更できますから、本機が戦後に辿ってきた歴史(機体のマーキングの変遷)をプロジェクション・マッピングで示すことができる・・・という思惑。
・・・ただ、やってみたものの「日の丸」から「米空軍マーク」への切り替わりタイミングや時間配分に、改善の必要ありです。例えば、「飛燕」をバックに記念撮影しようと構えていて、シャッター切ろうとしたら「日の丸」から「米空軍マーク」に変わっちゃった、なんていう場面が何度もみられました。
また、「飛燕」と米軍マークの組み合わせ理由についての説明が、現時点では展示の中に用意されていないため、説明対応するボランティアも四苦八苦。この辺、来年のリニューアル・オープンまでにどう改善していくか、課題ですね。
プロジェクションマッピングは、【時空間を演出する】新しいコンテンツ。その場所に行かなければ遭遇できない、体験型アートです。物の形状にあった映像をプロジェクターで投影し、あたかも実際の物があるような印象を与えたり、違う存在になってしまうかのような印象を与える映像表現技法の一つです。映像と音を同期させ、屋外広告や屋内広告、イベント、舞台、ライブなどにインパクトの高い演出で、ブランデングに寄与し、高揚感の共有を生み出します。
日替わりメモ2017/04/03
プロジェクション・マッピングの映像が可動である特性を活用したい思惑と、我が方が詳しく紹介している横田基地時代の展示を意識した考え方のようですが、この6117号機の歴史にとって(横田に残してもらった意義はとても大きいというものの)現在の展示に米軍マークを同等に扱う必要があるのかどうか、一般人に誤解を与えるもとでもあり、やめた方がいいのではないかと愚考いたします。館長さん、日本航空協会さん如何ですか?
収蔵庫展示では、昨年夏に寄贈された、戦時中の「落下タンク二型(木製)」が展示に加わりました。群馬県伊勢崎市の寄贈者のお話しでは、四式戦闘機「疾風」のタンクとのことでしたが、一式戦「隼」、三式戦「飛燕」、五式戦など、戦時中の日本軍戦闘機に共通して使われていました。